- 発行日 :
- 自治体名 : 宮崎県日向市
- 広報紙名 : 広報ひゅうが 令和7年9月号 No.844
日向市平岩の秋留を流れる赤岩川の河畔に、鵜戸神社が祀られています。神社の脇の切り立った崖は円礫(えんれき)だけの礫岩層(れきがんそう)に見えますが、良く観察すると、さまざまな大きさの円礫と白色の小さな角礫(かくれき)が混ざっており、硬い砂岩でできています。
これらは、まだ海にメガロドンなどが生息していた新第三紀中新世(約1500万年前)に日向沖にあった火山活動の際に噴出したものです。大量の火山灰や岩片などの噴出物が高温の火砕流となって堆積し、高温で柔らかいうちに堆積物自体の重みによって密着して固まったものです。この火山活動で作られた岩石をまとめて尾鈴山酸性岩類と呼んでいます。このことから、この露頭は尾鈴山酸性岩類の火山角礫岩の仲間だと考えられます。
その崖に、縦横5mを超える洞穴が2つあります。これは海の波の力で作られた海食洞です。今から約7000年前の縄文時代に地球は温暖な気候となり、海面が約5m上昇する縄文海進が起こりました。その際に赤岩川の河口から約2km内陸の秋留まで、かつて海岸線が進入していたことを示すものです。ここの礫岩層は風化が進み比較的柔らかく、割れ目があったところから波に削られ洞穴になったと考えられます。このように現在は海岸線から離れている地域でも海食洞などの痕跡を見ることが出来ます。ぜひ現地を訪れて当時の海岸線を想像してみてはいかがでしょうか。
現在は、どなたでも見学が可能となっていますが、海食洞の内部は危険なため、立ち入らないようお願いします。
秋留の海食洞
〒883-0022 日向市平岩6776の3
問い合わせ:教育総務課文化財係
【電話】66・1036