しごと 一人一役(ひとやく)でパワーアップ~皆(みんな)で仕事を分け合うまちへ~

■コロナ禍(か)で失った働き手
コロナ禍(か)において、私達は、様々(さまざま)なものを失いました。あの頃、人の移動が制限され、人が集まる事を避(さ)けるように呼びかけが繰り返されました。
当然ながら、人の往来(おうらい)が極端に少なくなり、指宿の様な観光地へのお客様の数は、激減しました。里帰りですら、人の目を気にする有(あ)り様(さま)でした。
外国人も同じ事で観光客だけでなく日本に働きに来る人々も渡航(とこう)できなくなり、指宿でも農業や水産業等を支えてくれていた方々が少なくなり、生産力が弱くなりました。
一方で、〝三密(さんみつ)〟を避ける為に人が多く集まる事を避ける風潮が定着し、外食や飲み会が随分(ずいぶん)、少なくなりました。結婚式やお葬式なども小規模になり、簡素化(かんそか)されてきました。いろいろな分野で経済が縮小し、お金の循環(じゅんかん)や雇用まで小さくなってしまいました。
新年度が始まり、あれから6年目を迎えています。コロナもインフルエンザと同じ扱いになり、人の活動も確実に回復して参りました。観光客の動きもまだ充分とは言えませんが指宿への訪問客は、毎年増えつつあります。
外国人の働き手は、市全体でこの3年間で340人程度増えたと推定されます。

■一人一役(ひとやく)でパワーアップ
指宿市では、〝人〟と〝経済〟を地域が生き残る鍵だと捉えて様々な努力を続けています。
コロナ禍(か)で失った〝人材〟はやはり、影響が大きいと思います。仕事が目の前に見えていても働き手が足りずに充分に稼(かせ)ぐ事が出来ていないという話をよく耳にします。
例えば、市内の各ホテルでは、かつて同窓会や忘年会などの様々(さまざま)な催し物が一年を通して行われていましたが、現在、時には受けてもらえない事がある様です。働き手が足りないのです。医療や介護、保育、交通関係などなど、広い分野で働き手を探しています。もちろん人手不足は、指宿だけの悩みではありません。日本中の大部分が同じ課題を抱(かか)えています。その中で、あと一歩、頑張った町が輝く事ができます。そこで、市民の皆様にお願いがあります。
一旦、退職をされたけど、体力や時間がある方は、例えばシルバー人材センターに、とりあえず登録をしてくれないでしょうか。指宿での会員数は、隣町の約半分しかありません。今求められている仕事は、実に多種多様で、きっと自分の好きな仕事が見つかるのではないでしょうか。
又、看護師や保育士など資格を持っているけど、今は使っていない方は、ご自分の得意分野での再挑戦を考えてみていただけないでしょうか。
皆さん、それぞれの生活に合わせて、週に一回でも、一日に一時間でもこの町の仕事の一部を支えていただければ、指宿がパワーアップします。又、少しでも手取りが増えてその分を使う事で町の経済が拡充(かくじゅう)してゆきます。

■働き手を増やす
もちろん、市役所でも、色々な取り組みを行っています。私の就任の時から声を大にして進めてきた移住・定住では、お陰様でこの3年間で、200名を超える方々が指宿に新たに住んでくれました。
指宿ゆかりの皆様をはじめ指宿の魅力を感じられての移住です。令和3年には6世帯10名だった移住者が、令和6年だけで48世帯110名と飛躍的に増えました。
内訳も、子どもが約3割を占め、50歳以下の方々が実に全体の8割を超えているのです。この方々も大いにこの町を支えてくれる〝人材〟だと期待しています。
又、昨年からまちづくり公社と連携して、砂むし温泉の様な指宿らしい場所で働くことを「チャレンジワーク」と名付(なづ)けて実施しています。大学生や若者が働きながら指宿らしさを感じていただき、将来、指宿への就職や移住のきっかけにしてゆこうというものです。
人によっては、一人で二役を担ってもらう事も考えられます。タクシーの分野では、ライドシェアという取り組みが全国各地で始まっています。自家用車を使って運転手不足を補(おぎな)おうというものです。又、市役所職員の副業を見直すことで、例えば地域で、最盛期の農産物の収穫などを助ける取り組みなど、指宿で実行できそうな事をこれから大いに研究してゆこうと思います。

■仕事をシェアする時代に
人口はどんどん減っていってる中、「働き方改革」が進み、働き過ぎを防止するルールが増えてきました。そうなると、同じ量の仕事を、多くの人で分け合う事になります。
今まで以上に多くの方々が参加し、自分にあった仕事を、出来る範囲で担ってゆく時代なのかもしれません。
結びに私が一番嬉しかった事をひとつ。
移住された方々が指宿を選んだ理由は「豊かな自然と温暖な気候」と「温泉資源」そして必ず言ってもらえるのが「指宿の人達の温(あたた)かい人柄」なんですって。

指宿市長 打越 あかし