- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県指宿市
- 広報紙名 : 広報いぶすき 2025年11月号
■郷土(ふるさと)を語るには先(ま)ず体験から ~子ども達の心に指宿を刻(きざ)み込(こ)む~
◇たまて箱温泉の無料体験
待望の山川ヘルシーランド温泉保養館や子ども達の遊び場のオープンに続いて、今月は11(いい)月26(ふろ)日(いい風呂の日)に「たまて箱温泉」が本格オープンします。今回は、プレオープンという形で正式に営業を開始する前に、地元の皆さんに楽しんでいただこうと考えています。予定としては11月22日(土)から25日(火)までの4日間です。体験をしたい市民の方は積極的に足を運んでください。もちろん全員、無料です。ただし、タオルやバスタオルは持参してくださいね。なにしろ、4年連続、日本一に輝いた露天風呂ですので、きっと満足できると思います。
そして、「良いお風呂だなー」と感じたら、たまて箱温泉の事を思いっきり多くの人に宣伝をしてくださいね。特に指宿市外の方々には力を入れて伝えて欲しいのです。良いものを人に伝えるには、自分が体験してみることが一番です。市民の皆様には、是非(ぜひ)、この機会に先(ま)ずはたまて箱温泉のご体験を!
◇指宿を五感(ごかん)で受けとめる
人の記憶というものは、いつまでも残り続けるものではありません。例(たと)えば、試験の直前に詰め込んだ知識は、すぐに忘れてしまう事が多いものです。一方で〝五感(ごかん)”と呼ばれる「見る、聞く、味わう、嗅(か)ぐ、触(さわ)る」を通じて得た経験は、一生、忘れられないものが数多くあります。皆様にも「あの時食べたラーメンの味」とか、「あの日見た夕焼けの美しさ」とか、忘れられない光景や味がきっとあると思います。私は決して忘れる事のない指宿の記憶をこの町で育った子ども達に与えてあげられたらと考えています。
私達の町には、指宿にしかない素晴らしい財産が沢山あります。しかし、それを味わう事なく学校を卒業し、故郷(ふるさと)を後(あと)にする子ども達も数多くいたと思います。
将来、ふるさと自慢をできる機会があっても自分で体験をしていない事は胸を張(は)って、自慢ができません。
そこで、指宿の子ども達には、特にこれだけはと思う指宿の宝物を、教育委員会や学校と連携しながら、体験してもらおうと考えています。
日本で最も美しい山のひとつである開聞岳。その頂上から見る「池田湖や錦江湾、その向こうに広がる桜島や霧島連山。」この最高の景色を記憶に刻(きざ)み込(こ)んでほしい。多くの人達を集めている知林(ちりん)ヶ島。その島を結ぶ砂洲(さす)を歩いて渡り、知林(ちりん)ヶ島を探検して欲しい。鰻地区の噴き出すスメで蒸(む)し上がったオクラや空豆(そらまめ)を味わって欲しい。その体験のひとつひとつが、決して忘れる事のない故郷(ふるさと)の思い出として、永遠に子ども達の心に残るものになって欲しいと思うのです。
◇きっと将来を支える人材に
指宿市を訪問される方々から「市民の方々は毎日砂むしを楽しんでいらっしゃるのでしょう」とか「市民で砂むしに入った事のない人はいないんでしょ?」と聞かれて戸惑(とまど)う事があります。私の正直な感覚では「まだ砂むしに入った事がない方が半分以上いるかも!」と答えると皆さん目を丸くして「信じられない」とおっしゃるのです。
姉妹都市の千歳市や人吉市の子ども達との交流メニューに砂むし体験がありますが、指宿の子ども達でも初体験の場合も多いです。日本に一カ所しかない天然砂むし温泉を知らずに学校を卒業してしまうと、砂むしを語れない指宿出身者になってしまいます。
先日、宇都宮(うつのみや)で開催された「全国都市問題会議」に出席しました。その中で、お祭りが盛んな町ほどUターン者が多いという話がありました。私もまったく同感でした。年少で多感な年頃に刻(きざ)まれた強烈なふるさとの思い出や体験は、決して色いろ褪(あ)せる事なく心に残り続けます。そして、その気持ちがやがて、ふるさとに帰り、ふるさとを支える力に育ってゆくのだと思うのです。
◇もちろん大人達も!
これから子ども達にふるさとを体験できる機会を作ってゆきます。どうぞ、保護者の皆様をはじめ多くの関係者にご理解とご協力をお願いいたします。又、大人達の中にも意外と喰(く)わず嫌いで指宿の自慢のものをまだ体験してなかったり、味わってない方々も多いと思います。何事も、まずは体験して、良かったら他(ほか)の人にも薦(すす)めていただければと思います。これからもこの町を自慢できる人が一人でも増えてゆく事を心から願っています。
指宿市長 打越 あかし
