- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県指宿市
- 広報紙名 : 広報いぶすき 2025年11月号
〜サミットをより楽しむために指宿鰹節を知ろう!〜
全国カツオまつりサミットが12月6日・7日に指宿で開催されます。指宿はかつお節の日本3大生産地(鹿児島県枕崎市・静岡県焼津市)の一つに数えられ、最高級品である本枯本節(ほんがれほんぶし)の生産量日本一を誇ります。山川でかつお節の製造が始まったのは明治43年(1910)ごろと言われており、今年で115年目。より良いかつお節を作るための技法が受け継がれ、伝統の技が今でも息づいています。今回の特集では全国カツオまつりサミットを楽しむため、改めて指宿鰹節の取り組みを紹介します。
■組合長にインタビュー! ココがすごいぞ!指宿鰹節
指宿鰹節の歩みとともにこれまでの取り組みを紹介します!
山川水産加工業協同組合組合長
國澤伸二(くにさわしんじ)さん
◆名実ともに指宿鰹節をブランド化
名称統一やロゴマークの作成だけでなく、さまざまな制度を活用してブランド名や技法を守っています。品評会でも高い評価をいただき、ブランド力の向上につながっています。
◆積極的なコラボレーションでPR!
勝武士(かつぶし)ラーメンに続く新たなご当地グルメ「いぶから」を地域の飲食店の皆さんと開発しました。また、全国一の金物産地の兵庫県三木市(みきし)の鉋(かんな)職人と協力し、世界一硬い食べ物とも言われる本枯本節が削りやすいかつお節削り器も製作。日本初の取り組みとしても注目されました。
○Check! かつお節製造は環境にやさしい
製造過程で出た不要な頭・内臓などはミール工場で飼料や肥料にし、販売しています。また、薪を燃やして燻す時に出る灰はあくまきの材料になっており、薪にする木材を植林するなどSDGsにもつながっています。
◆指宿鰹節の新たな歩み
▽平成27年
これまでさまざまな呼ばれ方をしていたかつお節の名称を「指宿鰹節」に統一
▽平成29年
ロゴマーク完成
▽平成30年
特許庁に「指宿鰹節」を地域団体商標として登録を出願
▽令和2年
特許庁の地域団体商標に登録
▽令和4年
かつお節と唐揚げを掛け合わせた新定番グルメ「いぶから」を地域の飲食店と共同で開発
▽令和5年
兵庫県三木市の「三木金物」と指宿鰹節専用のかつお節削り器を共同開発。地域団体商標を持つ特産品が協力するのは日本初
▽令和6年
全国鰹節類品評会・即売会が16年ぶりに指宿で開催。「指宿鰹節」が農林水産大臣賞を受賞
▽令和7年
地理的表示(GI)保護制度に「指宿鰹節」が登録
◆グルメスタンプラリー
期間:11月1日(土) 〜12月21日(日)
勝武士ラーメンやいぶからの提供店舗をめぐるデジタルスタンプラリーを開催します。
■かつお節の歴史と指宿
第1回大会から全国カツオまつりサミットのコーディネーターを務める二平章さんにかつお節の歴史と指宿についてお話を伺いました。
「かつおぶし」は「かつおいぶし」から生まれた言葉とされていますが、日本ではじめて「かつお(ほ)ぶし」が登場する資料は永正10年(1513)に書かれた『種子島家譜』です。これには指宿から南方140kmに位置する薩南諸島の臥蛇(がじゃ)島から領主の種子島氏にかつお節が貢物として納められたとあります。以来、500年余にわたりかつお節の製造法は全国に広がり、かつお節は日本人の食文化になくてはならない物となっています。
平成25年に「和食・日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ世界無形文化遺産に登録されました。その「和食の味」を支えているのはかつお節です。山川地区は良港に恵まれ、古くからたくさんのかつお船が入港し、かつお節製造が盛んで、今では枕崎市・焼津市と並ぶ日本3大生産地の一つとなっています。なかでも本枯本節生産量は日本一を誇り、「和食文化」の継承にはなくてはならない産業地域といえます。
・二平章(にひらあきら)さん
北海道大学卒業後、茨城県水産試験場首席研究員、北日本漁業経済学会会長などを歴任。現在、茨城大学人文社会科学部客員研究員。カツオの生態研究とともに家族漁業と魚食文化を守るためのシンポジウムを全国で企画開催している。
