- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年12月上旬号
【空き家の選択肢】
「いつかやろう」は、空き家には通用しない―。放置は資産価値の低下や維持費、解体費用の増につながります。
名義確認や片付けから始める実践的なステップ、そして活用の可能性を紹介します。
■[Question 03]もし空き家になってしまったら?
空き家は早めに活用しましょう
(1)自分で管理
空き家を将来使う予定の場合は、定期的に換気や掃除、庭木や雑草の手入れをしましょう。自身で管理できない場合は民間の空き家管理サービスなどを利用しましょう。
(2)賃貸に出す
不動産業者に仲介を依頼するのが一般的。まずは、不動産業者に相談しましょう。また、どんな用途(主に居住用または事業用)で貸すかも検討しましょう。
(3)売却する
売却し、次の所有者に活用してもらうのも活用方法の一つです。まずは、不動産業者に相談してみましょう。
(4)解体する
空き家を解体して、跡地を駐車場や貸地にするなどの土地を活用する方法があります。解体業者や建築士などに相談してみましょう。
空き家や将来空き家になりそうな住宅の活用・処分などの相談を受けている、一般社団法人かごしま空き家サポート協会の中野徳二孝(としたか)さん(46)に、空き家問題について聞きました。
■「いつかする」はこない
自身も空き家の処分に苦労した経験があるという中野さんは「空き家は、自分たちの“今日”の暮らしに影響がないんですよね。だから空き家をどうするか、考えることも放置しているのではないでしょうか」と眉をひそめます。
日本の空き家問題で特に問題視されているのが『放置空き家』です。これは長期にわたって住人などが不在で、賃貸や売却といった使用目的がない空き家を指します。「損得で物事を考えるのは好きではないんですが、空き家は放置すればするほど得することはなく損でしかありません。使わないのに固定資産税や家の保険料を払い続けないといけない。台風などで物が飛んで周りに被害が生じれば、所有者の責任でもあります。さらに、時間がたてばたつほど資産としての価値は落ち、貸すのも売るのも難しくなってしまいます。ついに倒壊の危険が迫って解体となる時には、解体費用も上がります。そもそも相続登記や名義変更をしていなければ、時間をおくほど相続人が増え、ますます手続きが複雑になっていきます」と中野さんは放置空き家に警鐘を鳴らします。
■まず整理をしましょう
それでは実際に空き家をどうするか考えるときに、まず何から始めればいいのでしょうか。「空き家を活用するのか、処分をしてしまうのかといった方針を決める前に、まずは情報を整理しましょう」と中野さんは話します。「家や土地の名義はどうなっているか確認しましょう。賃貸や売却ができる状態なのか、専門家に家のコンディションを見てもらうことも大切です。そして意外と時間を要してしまうのが、残された物(残置物)の片付けです。家に残された荷物には小さな思い出がいっぱいあるでしょう。けれどいつまでもそのままにして、家が大きな倉庫になっていませんか。必要な物だけを出して、残りは収集運搬業者に任せてしまうのが一番早く済む。市のホームページに業者の一覧も載っているので、参考にしてください。残置物があるかどうかで、次への進み方が大きく変わってきます」
■空き家のニーズ
市では、空き家を「売りたい」「貸したい」と考える所有者・管理者と、居住するために空き家を「買いたい」「借りたい」と考える利用希望者とのマッチングを支援する『空き家バンク制度』を設けています。「空き家を求めている人は意外といて、むしろ市場に出ていない空き家が多すぎると感じます。きっと売れないだろうと端から諦めず、まずは選択肢があることを知り、考えてほしい」と中野さんは力を込めます。「最近は家の値段がどんどん上がっていて、新築を建てるより内装のリフォーム、外装にも手を加えるリノベーションを希望する人も多いと聞きます。昭和56年に建築基準法が改正になっているので、それ以降に建てられた物であれば骨組みは使える物が多い。新築物件と中古物件の大きな違いは、保温性の違いだと私は考えます。例えば壁に断熱材が入っているかとか、ガラスが二重の物かとかですね。リノベーションの工事を行えば、そういった保温性の部分であっても改善できて、十分快適に過ごせると思いますよ」
