- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年12月上旬号
■天降川から世界へ
仲宗根倫太郎さん
国分高校3年生。
B and Gあもりがわ海洋クラブ所属。
監督、両親、練習環境を整備してくれる地元企業などへの感謝を忘れない。カヌーでの活躍と併せて、スポーツトレーナーになる夢も持つ。
趣味は魚釣り。
福山町在住。
パドルを使って体全体で力強く水をこぎ、前へ進むカヌー。今年10月、滋賀県で開催された第79回国民スポーツ大会のカヌー競技に県代表として出場し、少年男子カヌースプリント・(1※)カナディアンペア200メートルで全国1位に輝いたのが、国分高校3年生の仲宗根倫太郎さんです。
幼い頃から、ヨットや(2※)SUP(サップ)などの水上スポーツに触れてきた仲宗根さんがカヌーを始めたのは、高校1年生になる春休み。「高校時代は全てをささげる覚悟でスポーツに打ち込みたくて、ダイナミックな動きがかっこいいカヌーを選びました」
毎日10キロメートルをひたすらこぐなど練習を重ねた仲宗根さんは、競技を始めてわずか2カ月後の高校総体県予選カナディアンシングル500メートルで、優勝を手にします。1年後には、オーストラリアで開催されたアジアパシフィックスプリントカップに、日本代表選手として出場するまでになりました。
そして、高校生活の集大成として臨んだ国民スポーツ大会。仲宗根さんは、伊佐農林高校2年生の山下大翔(やまと)さんとペアを組み出場しました。「実は順調に記録が伸びていくペアではありませんでした。互いの練習場が遠く、一緒に練習できるのは週末だけ。そのため、短い時間でどれだけ質の高い練習ができるかということにこだわりました。まず500メートル1本を全力でこぎ、そしてその改善点を探しながら次の練習につなげていく、その繰り返し。なかなか思うようにタイムが伸びなかった時期は、本当につらかったです」と仲宗根さんは険しい表情を浮かべます。国民スポーツ大会に向けての練習は、4カ月以上にも及びました。
血のにじむような練習が実を結び、悲願の優勝を成し遂げた仲宗根さん。「2人で乗れる時間が少ないからこそ、常に本番のような緊張感で取り組めたことが結果的に良かったのかなと思います。当日は、風や波などが自分たちの得意なコンディションだったこともプラスになりました」と大会を振り返ります。「レース直後は実感が湧かなくて。岸に上がって、取材を受けたりメダルをもらったり、みんなで写真を撮ったりしているうちに、ふつふつと実感が湧きました」。高校生活を締めくくる大会で有終の美を飾った仲宗根さんは、うれしさを隠し切れないように笑顔を見せました。
今後の目標について「高校卒業後は大学進学を目指しています。大学在学中に日本代表に選ばれ、将来的には世界選手権上位入賞が夢」と意気込む仲宗根さんは、これからもパドルを力強くこぎ続けます。
(※1)カナディアンカヌー(片方に水かきのついたシングルブレードパドルでこぐ方式の艇)に乗って、河川などで速さを競う競技。クルー(乗組員)の数によりシングル(1人)・ペア(2人)・フォア(4人)の区分がある。
(※2)Stand Up(スタンドアップ)Paddleboard(パドルボード)の略称。大きめのサーフボードの上に立ち、パドルを使って水をこいで進むアクティビティ。
▽天降川カヌー体験
天降川でカヌーやSUPなどのパドルスポーツの体験ができます。カヌー競技で活躍したアスリートが、安全に楽しめるように付き添います。
問合せ:B and Gあもりがわ海洋クラブ[枦木(はしき)]
【電話】090-4485-2731
