- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年9月上旬号
■霧島国際音楽祭の父
堤剛(つよし)さん(83)
東京都出身。サントリーホール館長。毎年家族で霧島を訪れ「霧島は私のセカンドホーム」と笑顔を見せる。東京都在住。
「霧島国際音楽祭は、霧島市の皆さんの音楽への愛情で成り立っています」と話すのは、国際的なチェロ奏者として活躍する堤剛(つよし)さん(83)です。
堤さんが奏者として霧島国際音楽祭と出会ったのは、平成2年のこと。「初めて霧島を訪れた時、目の前に広がる壮大な自然に心を打たれました。毎年訪れていても、その感動は変わりません」と目を細めます。音楽の響きと雄大な自然が調和するこの場所で、堤さんは平成13年から音楽監督として同音楽祭をけん引してきました。
幼少期にチェロと出会った堤さんは、世界の舞台で輝かしい成功を収めながら、後進の教育にも力を注いできました。霧島国際音楽祭でも若い演奏家の育成に力を尽くすとともに、自らも奏者として一流の音楽を届け続け、それらの功績から昨年、文化勲章を受章されました。「文化振興に携わったことが評価されたと聞き、霧島国際音楽祭を通して後進の育成や地域へ音楽を届けられたことが、実を結んだと感じています。これはひとえに、この音楽祭に関わってくださった方々のおかげです。この先、同じ勲章を受ける人がこの音楽祭から生まれてほしい。それをかなえるまばゆい将来性が、霧島国際音楽祭にはあります」と力を込める堤さんに、本市からも今年8月、数々の功績と市への文化振興に寄与されたことをたたえ、霧島市民表彰特別表彰を授与しました。
「46年の歳月を経て、霧島国際音楽祭は全国でも五指に入るレベルに成長しました。輝かしい成功は霧島国際音楽祭を愛し、応援してくれる霧島市の皆さんの温かい支えのおかげ。その愛情の根源を考えた時によぎるのが、私も愛する霧島の美しい自然です。これは見る人の琴線に触れるもの。皆さんの音楽への愛情は、音楽と同じように感動を生む霧島の自然が育んでいるのかもしれませんね」とほほ笑む堤さんは今回の音楽祭を振り返り、「知名度も実力も、世界に誇れる域に達したと言えます」と自信をのぞかせます。
堤さんは今後の展望として「霧島を拠点に世界中を巻き込み、さらに大きな音楽祭へ育てたい。50回の節目、さらにその先を目指し、着実に歩んでいきます。この音楽祭は、霧島が世界から注目されるきっかけになるもの。そういう意味でも、もっと広報していかなければなりません。ここから生まれる音楽の力が国内外の人々をつなぎ、新たな文化交流や可能性を生むことを願っています」と大きな期待を込めます。霧島市民の音楽への愛情と、霧島から発信される音楽の未来を見据えた堤さんの思いが、この音楽祭の歩みを力強く後押ししています。