- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県霧島市
- 広報紙名 : 広報きりしま 2025年10月上旬号
■飽くなき挑戦その先に描く未来
谷口拓磨さん(20)
国分出身。鹿児島国際大学3年生。
「車の免許がない頃は、仕事を終えた父が毎回練習場まで迎えに来てくれました。バスケを続けられているのも両親のおかげ」と家族への感謝を忘れない。国分在住。
激しいぶつかり合いもあり、コート上の格闘技ともいわれる車いすバスケットボール。今年6月、ブラジルで開催された「2025(※)IWBF男子U(アンダー)23車いすバスケットボール世界選手権大会」に日本代表として出場し、ゲームキャプテンとしてチームをけん引したのが、国分在住で鹿児島国際大学3年生の谷口拓磨さん(20)です。
現在、鹿児島を拠点に活動する車いすバスケットボールチーム「薩摩ぼっけもん」のメンバーとして活躍する谷口さんが、この競技と出会ったのは天降川小学校4年生の時。通っていたリハビリ施設が同チームを招いて開催した体験会で、プレーする楽しさを知り、自由自在に車いすを操る選手の姿や車いすとは思えないほどのスピード感に魅せられ、その後チームの練習に参加するようになりました。「チームに入った時子どもは私一人で、世代の区別もなく大人に混じって練習していました。人見知りなので不安もありましたが、参加するたびに楽しくて夢中になりました」と当時を思い出し笑顔を見せます。
高校2年生で日本車いすバスケットボール連盟の次世代強化指定選手となり、国際大会などで経験を積んでいた谷口さん。そのころ県のスポーツ界は、かごしま国体・かごしま大会に向けてスポーツへの関心や参加意欲、大会を盛り上げようという気運が高まっていた時期で、県代表として大会に出場し活躍するという目標を掲げた谷口さんは、大学1年生でそれを実現します。
それから2年たった今年、谷口さんはU23日本代表として、ついに世界選手権のコートに立つまでになります。「日本代表としての重みを感じました。チームは12チーム中8位という悔しい結果に終わりましたが、個人としては過去最高の出来だったと思います」と世界に挑んだ9日間を振り返る谷口さん。「大会期間中にヨーロッパのクラブチームからオファーももらい刺激になりました。この先も日本代表に選ばれるように、もっとうまくなりたい。夢はパラリンピックに出場して金メダルを取ることです」とさらなる高みを目指し表情を引き締めます。
パラリンピックを目指すアスリートである一方、普段は大学生として学業にも励む谷口さんには、もう一つの目標があります。「大学では社会福祉について勉強しています。将来は社会福祉士の資格を取って、高齢者や障がいがある人の力になりたい。講演会やバスケの体験会なども開いて、若い選手の発掘にもつなげたいですね」
夢の実現に向けて、谷口さんの挑戦は続きます。
(※)国際車いすバスケットボール連盟。
※谷口さんが所属する車いすバスケットボールチーム「薩摩ぼっけもん」の公式インスタグラムはこちら(本紙PDF版12ページ参照)
