- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県いちき串木野市
- 広報紙名 : 広報いちき串木野 令和7年1月20日号(第231号)
■長沢鼎 Vol.8「排日の嵐(3)」
1915年、長沢鼎はサンフランシスコで開催されたパナマ・パシフィック万国博覧会に専門委員として参加しています。
サンフランシスコ市は、博覧会を誘致するために市を挙げて誘致運動に取り組み、その間は排日運動を控え、排日法案成立に反対することを表明します。博覧会の成功のためには、日本の出展や協力が必要だったからです。また、博覧会誘致の背景には、1906年のサンフランシスコ地震からの復興を内外に示したいという思いがありました。
1913年に成立した第一次排日土地法は、いくつかの法的抜け道があったため、1920年、1923年とさらに厳格となる法整備がなされ、1924年に移民法が成立します。これによって日本人移民の農地所有は極めて困難なものとなり、日本人移民の経済的・精神的打撃は大きいものがありました。長沢は土地法の施行前にハリスから土地を譲渡されていたため直接的な影響を受けることはありませんでした。また、長沢は日本人排斥が叫ばれる中、万博で全米の労働運動の指導者が参加する会議の後、指導者らを自邸に招いて宴を開き、もてなしました。長沢の立ち振る舞いや地域経済界への影響力が生んだ絶大な信用から、サンタローザ周辺では日本人排斥に反対の声が多かったといいます。
○開館10周年記念特別企画展
「long long journey 旅はまだ、続いている。長沢鼎展」開催中
薩摩藩英国留学生記念館スタッフ 畠中 敬子
参考文献:
『カリフォルニア州の排日運動と日米関係』蓑原俊洋著
『カリフォルニアのワイン王 薩摩藩士・長沢鼎』上坂昇著
薩摩藩英国留学生記念館
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