文化 町誌編さん室の島のむんがたり

■七夕あれこれ~ご先祖様は何を目印に帰って来る?~
七夕と聞くと、昔話の織姫、彦星、仙台の七夕が有名です。私が沖縄から徳之島に来て最初の3年、8月6日になると竹竿に短冊や折り紙などで飾っている光景を見て、「なんで8月に七夕をやるんだろう?」と不思議に思っていました。今回は徳之島と沖縄の七夕について書きたいと思います。
徳之島では、月遅れ(8月6日前後)で七夕をします。ある先輩職員から、月遅れ七夕のいわれについて、「ご先祖様の霊は、月遅れ七夕の日にあの世から七夕の竹竿を目指して帰ってくる。8月13日には、竹竿をおろすんだよ」と教えてもらいました。『徳之島町誌』によると、「(8月)12日までに墓を清掃し白砂で清める。13日の夕方に、墓へ行きご先祖様の霊を迎える」とあります。
ちなみに、徳之島で七夕を年中行事として行うようになったのは、1897(明治30年)からで、鹿児島から伝わったと考えられているようです。
沖縄では、旧暦7月7日に墓掃除をし、お墓や仏壇に線香を立てお酒を供え旧盆が近いことをご先祖様へ報告します。旧暦7月13日(ウンケー)にご先祖様の霊は、それぞれのお墓に帰って来ると考えられています。お墓に帰って来たご先祖様の霊を迎えに行きますが、午前中に迎えに行く地域と夕方に迎えに行く地域があります。
七夕の竹竿と墓、目印にするものは違えど、ご先祖様を大切にする心は共通しているといえるでしょう。
(郷土資料館 大屋匡史)

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