- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県天城町
- 広報紙名 : 広報あまぎ 令和7年9月号
■琉球列島の謎を知るヘビ? ガラスヒバァ
徳之島では、ガラシブなどと呼ばれているガラスヒバァ。実は、あごの奥にある小さな牙から出血毒を出しますが、今のところ人間には危険ではなく、ハブのような特定動物ではありません。図鑑などに載っている独特な標準和名は、沖縄のシマグチで「カラスのように黒い蛇」を意味する名に由来しています。また、ハブがいない喜界島や沖永良部島にも生息し、かつては与論島にも生息していたので、奄美群島すべての有人島にいたのです。平成28年(2016年)1月に発表された皆藤琢磨氏と戸田守氏による論文には、奄美群島や沖縄諸島に分布するガラスヒバァと、宮古諸島に分布するミヤコヒバァに関して、これまで常識とされてきた考えがくつがえるような、衝撃的な内容が含まれていました。DNAの分析によって判明したのは、奄美群島と沖縄諸島のガラスヒバァどうしより、見た目が異なるミヤコヒバァと沖縄諸島のガラスヒバァのほうが近縁だったこと。この事実から、沖縄諸島から宮古諸島へ南下して分布を広げたことになり、単純に南方からやってきて生き残ったわけでないのです。さらに沖縄諸島と宮古諸島が、なんらかの形で地続きになった可能性が出てきました。
奄美や沖縄の島々が、氷河期の繰り返しなどによって、どのように浮き沈みしたか不明な点は多いですが、ガラスヒバァの祖先がそれぞれの島々へ分かれていった順序は、(1)大陸からやってきた祖先が琉球列島中部と南部(八重山列島)および台湾へ分かれ、(2)琉球列島中部のなかで奄美群島と沖縄諸島(沖縄本島とその周辺)に分かれ、(3)沖縄諸島のなかで伊是名島が分かれ、(4)さらに沖縄諸島のなかから宮古諸島に分かれていったのです。その様子から、どうやら琉球列島は複雑な浮き沈みを繰り返して、現在に至っているようです。
こうした現象などから、550万年~27万年前ごろ、沖縄本島と宮古島との間に陸地があったのではないか…とする仮説があるそうです。
※詳細は、本紙またはPDF版をご覧ください。
編集:天城町教育委員会
