文化 文化の泉 宝物(たからむん)No.69

■なぜ10月?南風原町民平和の日
今年は戦後80年の節目。県内外各地で戦争と平和に関する様々なイベントが行われています。南風原町も10月に町民平和の日イベントを開催します(20ページ参照)。
10月12日は「南風原町民平和の日」に制定されています。なぜ、慰霊の日がある6月などではなく、10月なのでしょう。実はこの日は、南風原の戦後が動き始めた日なのです。
沖縄戦は1945(昭和20)年6月23日に日本軍による組織的戦闘が終わり、生き残った住民は米軍によって収容所に集められました。南風原の人々は現在の与那原町大見武の収容所で帰郷を待つことになりました。翌年、1946(昭和21)年1月に大見武に南風原村役所を設置し、帰郷に向けた準備が始まります。2月には大見武に近い字宮城の住民が字での居住を許され、7月にようやく各字の住民が帰郷することになりました。そして10月12日、村役所が大見武から南風原小学校敷地内に移転し、本格的な戦後復興が始まりました。
役所は、当時の役所書記によると、「米軍が残した鉄骨造りのT型コンセットを利用して役所が置かれ、入口に南風原村の立看板が掲げられた。東隣の建物は配給所に充てられた。役所は、わずかばかりの机、長テーブルが置かれ、狭いながらも一応事務所らしい構えをしていた」といいます。1947(昭和22)年1月時点で職員は村長含め19人、主な業務は食糧の配給、テントや建築資材の配給、建物の建設、帰還者の受け入れ、字別名簿の作成、農作物の種苗や家畜の入手、分配などがありました。まさにゼロからの復興だったといえるでしょう。
先人たちの努力によって、いまでは焼け野原だった当時の面影はなく、住宅が建ち並び、緑があり、子どもの元気な声があちこちで聞こえるにぎやかな町になりました。これからも平和が続くように、いつまでもこの町でおだやかに過ごせるように、80年前の惨禍を二度とおこさない決意の日として10月12日の「南風原町民平和の日」があります。ぜひ、この日を改めて平和について考えてみる日にしてください。(前城)

◎南風原の戦後のあゆみを電子図書で読めます。

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