健康 公立久米島病院だより

3・4月の休診日:毎週日曜・月曜、3/20(木)、4/29(火)

■~久米島で、最期まで自分らしく生きたい~
内科 永井大樹(東京ベイ・浦安市川医療センター所属)
唐突ですが「最期の時をどこで迎えたいですか?」と聞かれたとき、どんな場所・どんな環境を思い浮かべるでしょうか?久米島で病院勤務をする中で「家族と一緒に、この島の風を感じながら最期まで過ごしたい」という声を聞くことがありました。久米島は「美しい海」「ゆったりと流れる時間」そして何よりも「温かい人々に囲まれた特別な場所」だと感じさせられます。この島で生まれ育った人も、移り住んできた人も、最期の時までここで過ごしたいと願うのは、とても自然なことなのかもしれません。
その想いを叶えるためには、元気なうちから「早めの準備」をすることが鍵になります。突然状態が悪くなった時に「どうする?」と考えても、冷静な判断が難しくなります。そこで大事なのが、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」(人生会議)という考え方です。
ACPとは、家族・友人・医療者と、本人の意思や価値観などに基づいて、「残された人生で何を大切にしたいか」「どのように過ごしたいか」などを話し合うことです。これは「延命治療をするかしないか」といった難しい決断に限らず、「最期まで自分らしく生きるには何が必要か」を整理するための大切な時間です。繰り返しますが、ACPは、決して「死の準備」ではなく、『自分らしい人生を、最後まで後悔なく過ごすための話し合い』です。
久米島には、心温かい人達の支え合いがあり、最期の時まで穏やかに過ごせる環境があります。そんな環境を自然と作り出している皆様のお陰で「ここで過ごしたい」と思えるのだと思います。
『久米島で、最期まで自分らしく生きたい』そんな想いを叶えるために、今からできることを一緒に考えていきませんか?久米島が住む人すべてにとって「幸せな最期を迎えられる場所」であり続けられるように、また少しでも長い時間を元気で幸せに過ごせるように、我々も日々精進してまいります。

「~子どものネガティブ反応に対応する~(4)自分の生活をチェックしよう!」
公立久米島病院 小児科 渡邉 幸
これまで、人の考えや行動は自律神経スイッチによる身体の反応(戦闘モード:赤/休止モード:青/安心モード:緑)に影響を受けているという話をしました。今回はこのシリーズの最終回です。
みなさんが最近「緑」になったのはいつ、どんな時ですか?散歩、寝る前のお茶など、人それぞれだと思います。緑モードの時は平和で穏やかな気持ちになり、「~しなきゃ!」よりは「まかせてみよう」と思えます。緑の時間を日常的に確保することは、子どものネガティブ反応に対応する時に子どもを「緑の経路」に導くためにとても大切です。
子育て中の親は、昼は仕事や子どもの世話、夜は「ご飯作らなきゃ」「お風呂いれなきゃ」と家事・育児に追われ、気づくと「赤」モードで日々を過ごします。しかし、ずっと「赤」の状態が続くと、身体が緊急停止サインを出してきます。それが「青」モードで、「何もしたくない」「身体がだるい」などがサインです。こんな時は、やる気が出ない自分に落ち込んだり責めたりせず「疲れているから緑になれる時間が必要」と思ってください。そしてパートナーや周りの人に相談し、どうしたら時間が作れるか一緒に考えてもらいましょう。
夫婦間で家事分担を上手にしている家庭では、母が食事を作っている間に父が子どもと遊んで過ごす、父親が皿洗いしている間に母が子どもに読み聞かせをするなどすべきことをこなす「赤」の役割と、親子のふれあいや癒しになる「緑」の時間をお互いに上手く作れていると言えるでしょう。エクササイズや趣味など、自分が没頭できる時間を作ることもとても大切です。そんな時間も作れないという場合は、隙間時間に好きな飲み物を飲む、大きく深呼吸をして穏やかになれる場所や人を思い出す、マインドフルネスなど、小さな緑の積み重ねをしてみてください。
自分の家が火事の時に、隣の家の火を消すことができないのと同様に、自分が大変な状況だと人に穏やかに接することができなくなります。もしも今全く余裕がなく、辛い気持ちになってしまったらそれはSOSサインといえます。ぜひ福祉課や病院でご相談ください!
このシリーズは(1)「~負の感情が楽になる~ポリヴェーガル理論」(吉里恒昭著)、(2)「発達障害からニューロダイバーシティへ」(モナ・デラーク著)を参考にしています。(1)は難しい理論をわかりやすく解説されており、読みやすいのでお勧めです!

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