- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県久米島町
- 広報紙名 : 広報くめじま 2025年4月号
◆次世代産業の誘致
次世代産業の誘致については、沖縄県が推進する海の恵みを利用した持続可能な社会経済開発「ブルーエコノミー」を先導する地域として、島の資源である海洋深層水を活用した新たな産業創出の展開が必要です。
令和5年度より、JICAの委託事業としてパラオでの久米島モデルの展開に向けた調査が開始され、昨年11月には国連気候変動枠組条約締結国会議(COP29)のジャパン・パビリオンにおいて、JICAの取り組みを紹介するブースで「久米島モデル」の動画が放映されるなど、「久米島モデル」のプレゼンスが向上しています。
引き続き、久米島海洋深層水活用全体計画を基に、海洋深層水をクリーンエネルギーの供給や食糧・水の生産に複合的に活用する持続可能な島嶼コミュニティ「久米島モデル」の実現に向け、民間事業者が実施している実証事業と連携し、深層水取水施設の整備に取り組んでまいります。
再生可能エネルギーについては、2040年までに、町内で消費されるエネルギーの100%を再生可能エネルギーによって自給することを目標としております。民間の活力を活かした海洋温度差発電の実用化に向けた実証事業、及び公共施設や一般住宅への太陽光発電設備の設置を促進するほか、本町では個人や法人に対して電気自動車や家庭用充放電設備の導入費用について一部補助を行っています。引き続き、町内における再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。
◆防災減災への取り組み
昨年は、「能登半島地震」に始まり、日向灘地震や台湾東部沖地震、さらには奥能登や沖縄県の北部地域における集中豪雨など、さまざまな自然災害が猛威を振るった年でした。このように頻発する自然災害から住民の生命や財産、そして暮らしを守るために、自助、共助、公助による災害に強いまちづくりを推進してまいります。
消防救急体制については、複雑かつ多様化する災害に対応するため、消防職員や団員を消防学校などの研修に派遣し、消防業務に関する知識や技術の向上を図ります。また、関係機関と連携し、各種災害への対応に取り組んでまいります。さらに、昨年整備した災害対応ドローンを活用し、火災や救急、救助などの災害現場における情報収集や後方支援、被災地の広範囲な状況把握などを行い、限られた人数で効果的な活動ができるよう努めてまいります。
防災減災については、日頃からの備えが非常に大切です。庁内における初動体制の強化や、避難行動要支援者の個別避難計画を策定し、迅速な対応ができるように関係機関との綿密な連携を強化してまいります。
また、離島である本町の地理的要因を踏まえ、地域防災計画に基づき、災害対応資機材の備蓄を充実させるとともに、物資等の供給体制を強化します。さらに、デジタル防災行政無線等の様々な媒体を活用し、来島された観光客を含むすべての方々へ災害情報が届くように発信の強化に取り組んでまいります。
◆上下水道事業の推進
上水道事業については、安全で安心な生活水の安定供給を維持するため、水源施設や浄水場などの施設の適正管理に努めます。また、今後10年間の新たな上水道事業基本計画を策定し、既設の水道施設や設備について計画的な更新を図ってまいります。
下水道事業については、令和6年度に公営企業会計に移行したことを踏まえ、これにより、経営状況をより的確に把握し、経営の健全化に取り組んでまいります。
下水道布設工事については、銭田地区が終了し供用開始されます。本年度は山城地区に向けて県道の管路布設工事を実施いたします。また、接続率向上に向けて引き続き普及啓発活動に取り組んでまいります。
◆環境保全と地域美化
「ごみのない島づくり」を実現するためには、地域全体の協力が不可欠です。美しい自然環境を次世代に引き継ぐためにも、行政のみならず町民や事業者が一丸となり、環境保全活動に取り組めるよう努めてまいります。
松くい虫防除対策については、専門家による助言をいただきながら、継続して取り組んでまいります。
地域緑化の推進については、緑と花にあふれるまちなみを目指し、町民参加による「花いっぱい推進運動」を継続してまいります。
以上、令和7年度の主な施策について申し述べました。
令和7年度の一般会計当初予算について、税収面では減少傾向が続いており、厳しい状況が今後も続くものと思われます。歳出面においては、これまでと同様に扶助費などの社会保障関係費の増加や、電気料金をはじめとした燃料高騰、物価高騰による物件費の増加、特別会計への赤字補填のための繰出金など、避けては通れない状況が続いております。
こうした旺盛な財政需要や多様な住民ニーズに対応すべく、国や県の予算編成の動向を注視しつつ、可能な限り補助金や交付金などの特定財源の確保に努めるとともに、持続可能な行財政運営に取り組んでまいります。
自治体DXの推進については、マイナンバーの利活用を通じた行政サービスのデジタル化やオンライン化など、久米島町DX推進計画に基づき、町民の生活の利便性向上ならびに行政事務の効率化、さらにデジタル技術を活用した地域活性化に取り組んでまいります。
地域コミュニティにつきましては、自治会加入者の減少や地域行事の担い手不足など、多くの課題が顕在化しております。各字公民館へ空調設備を整備することで、自治会が自主的に取り組む各種事業が促進され、自治会内の各種団体の創意工夫にあふれた活動に資すると考えております。これにより、地域での集会機会の増加による活性化を促進してまいります。
住まい不足対策につきましては、対策の一環として、まずは医療・福祉・教育などの公的サービスを持続的に提供できるようにするため、町外から移住される専門職種の方向けの住宅整備に取り組んでまいります。
空き家対策につきましては、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしますので、空き家の改修及び除却に対して助成を行い、適切な管理を所有者等に促してまいります。
◆結びに
私は就任当初から、「全ての世代が活き活きと暮らせるまちづくり」を目指して町政運営に取り組んできました。就任当時は、世界的な感染症の拡大による経済の低迷や地域活動の休止が続いておりましたが、今では地域活動も再開し、地域に活気が戻ってきております。また、昨年12月には地域行政懇談会を開催し、町民の皆様から地域が抱える課題やご要望を直接伺うことができました。今後も、地域の課題解決に向けて、行政と町民、地域が連携したより良いまちづくりを推進してまいります。
厳しい財政状況が続くことに対して危機感を抱いておりますが、いかなる困難に直面しようとも、多様な町民ニーズをはじめとする時代の要請に的確に応えるためには、不断の行財政改革に取り組まなければなりません。これからも、町民の皆様が必要とするサービスをしっかりと届けていくためにも、職員力を高めることに努めてまいります。
町民の皆様ならびに議員の皆様のより一層のご理解とご協力をお願い申し上げまして、私の施政方針といたします。
令和7年3月4日 久米島町長 桃原秀雄