文化 【特集】世界遺産と国宝(1)

函館には、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」(大船遺跡と垣ノ島遺跡)と、国宝「土偶」(中空土偶)があります。世界遺産は日本全体で26件だけなので、世界遺産と国宝が両方ある函館は、国内でも有数の歴史豊かなまちといえます。
縄文世界遺産と国宝土偶はどちらも縄文時代の文化遺産です。縄文文化は、狩猟や漁労、採集を生業としながら定住生活を達成し、紀元前1万3千年から1万年以上もの長期にわたり持続可能な社会を実現した、日本特有の先史文化です。
自然の豊かな恵みを暮らしに取り入れてきた知恵と技術、そして自然とともに生き、争いのない、家族や仲間を大切に思う心により育まれた縄文文化を、現代に生きるわたしたちが誇りとして受け継ぎ、未来へ伝えていくことは大切なことです。
今回の特集では、世界遺産や国宝について解説するほか、縄文に関わる方々のコメントや取り組みなどもご紹介します。

■大船(おおふね)遺跡(紀元前3,500年頃~紀元前2,000年頃)
約1,500年間にわたって営まれた、太平洋をのぞむ段丘上に立地する縄文時代の拠点集落。ほかの遺跡に比べ、床を深く掘り込んだ竪穴住居が特徴的で、中には深さ2mを超える大型のものもみつかっている。発掘調査により、沿岸地域における生業と精神文化を示す重要な遺跡であることが証明され、2001年に国の史跡に指定された。

■垣ノ島(かきのしま)遺跡(紀元前7,000年頃~紀元前1,000年頃)
約6,000年間という長期にわたる定住を示す、太平洋をのぞむ段丘上に立縄文時代の集落跡。地する縄始期の段階で居住定住開域域と墓域で構成される集落がつくられていた。国内最大級の盛り土遺構や墓に副葬された足形付土版など、当時の高い技術や精神性を示す貴重な遺構や遺物が多く見つかっており、2011年に国の史跡に指定された。

◇2021年7月に「北海道・北東北の縄文遺跡群」のひとつとして、ユネスコの世界遺産に登録。

▽世界遺産の登録数(2024年7月時点)
文化遺産:952件
自然遺産:231件
複合遺産:40件

そのうち日本の登録数は26件。
文化遺産:21件
自然遺産:5件
世界で11番目の多さ。

■国宝・中空土偶を徹底解説
※詳しくは本紙をご覧ください。

「国宝」は、日本にとって、とても大切な宝物のこと。昔の人が作ったすごいもの、たとえば、とても古いお寺や建物、昔の絵などの中でも、とくにすごい!大切!と国が決めたものが「国宝」だよ。どうして大切かというと、昔のくらしや考え方がわかったり、今では作れないすごい技がつまっていたりするからなんだ。

◇我が名はカックウ
国宝土偶(中空土偶)は、昭和50年(1975年)8月24日に旧南茅部町でジャガイモの収穫中に発見されました。中が空洞になっていて、保存状態が非常に良く、2007年に国宝に指定されました。これは北海道で初の国宝で、南茅部の「茅(カヤ)」と中空土偶の「空(クウ)」を合わせて「カックウ」と命名されました。縄文文化交流センターに常設展示しています。

◇どんな価値がある?
土偶は縄文時代の人間の造形を端的に示すものであり、その姿形から当時の風俗・精神性に迫り得る極めて学術性の高いものである。その中では本品は、出土地点が明らか、かつ遺存状態も良好で、造形的にも優れたものである。(文化庁国指定文化財等データベース解説文より)

「市立函館病院でCTスキャンを受けたよ。」
「とても薄く作られているのがわかったよ。」