くらし 地域で支えるあなたらしさ 認知症とともに生きる(1)

令和6年1月1日、共生社会の実現を目指して〝認知症基本法〟が施行されました。これにより、毎年9月21日は〝認知症の日〟そして9月は〝認知症月間〟と定められました。
予備軍を含めると、高齢者の3.6人に1人が認知症だといわれています。中には若くして発症する人もおり、もはや誰にとっても無関係ではない時代です。
認知症になっても、自分らしく暮らし続けるにはどうすればよいか、一人一人が自分のこととして考えるときではないでしょうか。

○76.1MHz FM HAMANASU JAPAN
市職員が出演して紹介します
9月12日(金)午後5時40分

◆早めの対策を
認知症の原因の中には、治療により改善する病気もあります。アルツハイマー型認知症などは根本的な治療方法はありませんが、運動習慣や食生活の改善、人とのコミュニケーション、役割や日課を持つといった脳の活性化を図ることで、進行を緩やかにすることが期待できます。物忘れが多くなってきたと感じたら、専門の医療機関を受診しましょう。

◆〝新しい認知症観〟という考え方
認知症基本法は、認知症の本人が尊厳を持って暮らすことができる共生社会の実現を目的に施行されました。共生社会の実現のためには、地域全体で考え方を変えていかなければなりません。
認知症に〝何もわからない、できなくなる〟〝地域で暮らせない〟といったイメージを持っているとしたら、それは古い認知症観です。新しい認知症観は、認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になってからも、一人一人が個人としてできること、やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とつながりながら、希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという考え方です。
認知症に対する考え方を変えることが、認知症になっても希望を持ち、自分らしく生活できる地域を目指す第一歩です。

○古い認知症観
人ごと、他者視点、問題重視、疎外、絶望
・人ごと、なりたくない、目をそらす、先送り
・認知症だと何も分からない、できなくなる
・本人は話せない、声を聞かない
・おかしな言動で周りが困る
・危険重視
・周囲が決める
・本人は支援される一方◦地域で暮らすのは無理
・認知症は恥ずかしい、隠す
・暗い、萎縮、諦め、絶望

○新しい認知症観
我がこと、本人視点、可能性重視、共に、希望
・我がこと、お互いさま、向き合う、備える
・分かること、できることが豊富にある
・本人は声を出せる、声を聞く
・本人が一番困っている
・人権重視、自由と安全のバランス
・本人が決める(決められるように支援)
・本人は支え手でもある
・地域の一員として暮らし、活躍
・認知症でも自分は自分、自然体でオープンに
・楽しい、伸び伸び、諦めない、希望

参考:認知症地域支援体制推進全国合同セミナー資料(認知症介護研究・研修東京センター、令和5年1月)

○〔解説〕〝認知症〟と〝軽度認知障害(MCI)
認知症は、脳の変化により物忘れがひどくなるなど、日常生活に支障が出ている状態を指し、中でも最も多いのが〝アルツハイマー型認知症〟で、初期から物忘れが見られるのが特徴です。
一方、軽度認知障害(MCI)は認知症と診断される手前の段階で、日常生活には支障が出ていない状態を指します。早めに対策することで、認知機能の低下を防ぐことができます。

■認知症地域支援推進員の活動
認知症地域支援推進員は、認知症の方と家族がより良く生活するために必要な支援が受けられるよう、医療や介護といった関係機関をつなげ体制を整える、相談支援、認知症ケアパスの作成・普及などの役割があります。
・認知症ケア研修
認知症に関する知識を深め、質の高いケア提供につながることを目的に医療・介護の専門職などを対象に実施
・もの忘れ相談会
早期の相談につながるようスーパーなど身近な場所で実施
・移動オレンジカフェ
認知症に関する普及・啓発などを目的に、決まった場所だけでなく、地域を移動しながら認知症カフェを開催

○認知症ケアパス
認知症が疑われる症状が発生した時から、その進行や状態に応じてどのような医療や介護サービスなどを利用できるのかを示したガイドブックです。市役所本庁や各地域包括支援センターなどで配布しているほか、市ホームページにも掲載しています。
ID:3695

■認知症に関する市の取り組み
○認知症高齢者等SOSネットワーク
高齢者などが行方不明になった場合、警察署や消防署、公共交通機関などと連絡体制を組んで早期発見・保護し、適切な支援につなげています。また、あらかじめ行方不明になる恐れのある方の身体的特徴や連絡先を登録することもできます。
ID:9064

○認知症初期集中支援チーム
保健師などの専門職が認知症の初期段階で訪問活動などを行い、早期診断・早期対応につなげます。必要に応じて医療や介護サービスの利用を支援し、住み慣れた地域で生活が続けられるようサポートします。

○脳イキイキ度チェック
根気が続かない、頭にモヤがかかっているようで何か変だなと感じたら、脳の元気度を検査してみませんか?結果に応じて生活改善指導や相談に乗ります。

■認知症月間の関連イベント(無料)
○認知症サポーター養成講座
認知症の症状や行動、認知症の診断・治療・予防、認知症の人との接し方などを学びます
日時:9月25日(木)午後1時30分~3時
場所:市役所本庁
定員:30人(申込順)
申込先:9月19日(金)までに、岩見沢市地域包括支援センターへ

○認知症に関する書籍展示
認知症に関する本やパンフレットを展示します
期間:9月21日(日)~10月5日(日)
場所:来夢21図書館

○いわみざわオレンジフェスタ
認知症に関する書籍展示認知症に関する展示、ロバ隊長を作ろう、もの忘れ相談会、カフェスペースなど。映画〝ケアニン〟の上映も
日時:9月6日(土)午前11時~午後4時
場所:まなみーる文化センター(9西4)