- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道森町
- 広報紙名 : 広報もりまち No.241 令和7年4月1日号
▼農林業
▽農業
昨年の農作物は高温障害等による収量減はありましたが、記録的な猛暑で深刻な影響を受けた一昨年と比較し、製品歩留りや品質は改善しました。
一方で酪農・畜産は、あらゆるコストの高止まり等により厳しい経営が続いておりますが、JA新はこだて森営農センターにおける農畜産物販売額は、畑作物販売額の好調を受けて昨年度を大きく上回りました。
本年度は、安定的な農業生産と持続可能な農業経営の確立を目指し、国等に対して、農畜産物の適正な価格形成の実現を訴えてまいります。また、次代の農業担い手の確保や生産維持などの課題解決に向けて、関係機関等と連携し取り組んでまいります。
水路等の保全・管理につきましては、国等の支援事業及び交付金等の活用により農業者等の負担軽減に努め、耕作条件の改善に向けては、水路等の整備を継続します。
また、ヒグマ、エゾシカによる農業被害の軽減対策をはじめ、農業販売収入の減少を補てんする収入保険への加入、荒廃農地の再生、六次産業化による地域特産品の開発及び新規作物の導入に対する支援のほか、食農学の分野における大学との連携を図ってまいります。
さらには、町と関係機関で組織する営農指導対策協議会による就農相談体制の構築、研修農場及び受入施設の整備に向けた構想・事業化の検討、支援メニュー・支援窓口の検討など、農業者等の受入環境の充実に向けて取り組んでまいります。
▽林業
世界の木材需要は、新型コロナ禍後のテレワーク普及や経済回復、米国や中国の住宅着工増加を背景に高水準を維持しております。金融引き締めや金利上昇により、一部地域では住宅市場の鈍化も見られますが、輸送面では海運の需給逼迫が続き、輸出入に影響を与えております。また、環境意識の高まりから、持続可能な木材利用の重要性も増しております。
一方、日本の新築着工数は2022年度の86万戸から、2030年度には74万戸、2040年度には55万戸へと減少する見込みであります。製材品の8割は建築用材が占めているため、住宅着工件数の減少を補うことが急務であります。さらに、電気代や燃料費の値上げが木材加工コストを押し上げ、道産材の需要が低迷するのではないかと懸念される状況であります。森林は、地球温暖化の防止や国土の保全、水源かん養の役割を担うだけでなく、木質バイオマスエネルギーや豊かな漁場形成など、多面的な機能を生み出す重要な資源であります。特に、二酸化炭素を吸収・固定し、低炭素社会実現の主役として大きな期待が寄せられていることから、健全な森林の育成に向けて、関係機関と連携し、民有林・町有林の造林をはじめ、下刈・除間伐工事を推進してまいります。
有害鳥獣被害防止につきましては、「森町鳥獣被害対策実施隊」を中心として、これまで様々な対策を講じてまいりました。近年では、エゾシカやヒグマの捕獲頭数が年々増加する傾向がみられることを踏まえ、本年度はエゾシカ駆除報償金及びヒグマ捕獲交付金をそれぞれ増額いたします。
また、アライグマの捕獲事例も確認されるようになった現状を受け、引き続き捕獲活動を強化し農業被害の軽減に努めております。今後も被害対策の一層の強化に取り組んでまいります。また、次代を担う若手ハンターの育成に向けて、「狩猟免許等取得助成金制度」を継続し、狩猟免許をはじめ、銃所持許可、並びに銃装備関連経費に対して助成してまいります。
人口減少や高齢化による林業・木材産業の担い手不足や諸活動が停滞する中、生産能力と従業員数が減少傾向にあります。また、伐期を迎えている林分も多く、今後は計画的な伐採と活用の両輪で進めることが重要となってまいります。木造公共施設森町モデル事業では、これまで森町産材を活用した木造公共建築の永続的な維持と建設に注力してまいりました。
今後は、非住宅分野への木造建築のさらなる普及を目指し、これまでに開発した「森町トラス」やその応用技術である耐力壁の実践可能性を検討し、「森町モデル実証事業」として地域資源を活用した持続可能な取組みを推進してまいります。
また、森林管理においては、カラマツやスギの高齢化による伐期超過木の増加や、人工林の天然林化に伴う森林調査簿との不整合といった課題への対応を進めてまいります。
ナラ枯れ問題につきましては、被害が進行すると天然更新が困難となる恐れがあるほか、被害木の出荷制限により経済的影響も懸念されており、迅速かつ適切な対応が求められております。ナラ枯れの発生前に高齢で大径の樹木を択伐し、市場価値の高い洋樽の試作検討を行い、被害防止と地域経済の両立を目指して対策を講じてまいります。また、北海道立総合研究機構森林研究本部と連携し、ナラ枯れの状況把握や人工林の資源解析、シミュレーション技術を活用した計画的な森林管理を推進し、安定的な木材供給体制の確立に取り組んでまいります。
町の林業・木材産業の活性化や担い手確保に向けて、引き続き地域おこし協力隊及び地域おこしインターン制度を活用し、都市部から意欲のある若年層を積極的に誘致してまいります。
また、町民ニーズに広く応えるため「炭ずみまで地域材を使おう!もりだくさんプロジェクト」補助金についても継続してまいります。