- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道森町
- 広報紙名 : 広報もりまち No.241 令和7年4月1日号
▽森林環境事業
「森林環境譲与税」の活用につきましては、次世代に引き継がれる木育推進プロジェクトとして、ワーキンググループを起ち上げ、各世代の木育プログラムに取り組むほか、林業・木材産業の新たな担い手確保のため、北の森づくり専門学院や森高校向けのインターンシップを通じて就業支援を行ってまいります。
若年層の担い手育成を目的とした施設「iroMori」では、若者が新たなことにチャレンジできる活動の場を提供し、これまで町産木材のブランド化を目指したデジタル機器の活用やものづくり教室の開催など、多様な取組みを行ってまいりました。昨年度は大学生を対象とした就業体験を積極的に受け入れ、玉川大学、武蔵野美術大学、北海道大学、札幌市立大学の参加実績を築き、北海道芸術デザイン専門学校と連携協定を締結しました。
引き続き森町産木材を活用した木製品制作に挑戦できる場を提供するなど、地域資源の活用と次世代育成を一体的に推進してまいります。
林業・木材産業の次代を担う人材の育成等につきましては、北の森づくり専門学院の地域見学やインターンシップはじめ、森高校「住生活デザイン」等の授業を町が担っております。これらの取組みを通じて地域への関心や愛着を醸成し、若年層の実践実習教育の拠点として実践的な学びと挑戦の場を広げることで、町産木材の新たな可能性を創出するとともに、若年層の育成と定着を目指してまいります。
カーボンニュートラルに向けた町のJ-クレジット事業においては、ENEOS株式会社、日本生命保険相互会社と連携協定を締結し、森林を活用した脱炭素社会の実現に向けた取組みを進めております。
町有林の森林施業による二酸化炭素吸収量で創出されるJ-クレジット制度を活用し、地球温暖化防止に寄与する森林づくりを推進するとともに、植林や植樹祭といった森林維持・保全活動を展開してまいります。
また、省エネや低炭素投資を促進し、クレジット活用による町内資金循環を生み出すことで、経済と環境の好循環を目指してまいります。
本年度は、モニタリングの算定、検証及び審議、認定を経て、クレジット発行金額の受取を開始する予定となっております。
さらに、森林所有者意向調査のフォローアップとして、「地域林政アドバイザー」と共に、森林づくりや木材利用促進の対策を重点的に進め、町民や企業と連携し、吸収量の維持・増加につながる森林づくりを推進してまいります。
▼水産業
当町の基幹産業の1つであります漁業の状況ですが、昨シーズンの2大太宗漁業に目を向けますと、養殖ホタテの価格を牽引してきた海外輸出がALPS処理水海洋放出に伴う中国などの禁輸措置により大打撃を受け、前年比6割減の1キロ平均160円台と終始安値での取引となりました。
更には、水揚量もピーク時の4割となる1万3千トンまで減少しており、生産能力の維持と事業継続の意欲が今後の課題であります。
また、スケトウタラ漁につきましても、水揚量は年々減少傾向にある中、昨年は前年比2割減の2千3百トンと2年連続で3千トンを下回ったものの、薄漁のため単価は1割強の上昇となっておりますが、海洋環境の変化や物価高騰等の影響により出漁を見合わすなど、依然として外的要因を受けやすい操業を強いられております。
加えて、ボタンエビ漁や秋サケ漁も不漁が続いており、オオズワイガニについても水揚量は増加しているものの単価は低調に推移するなど、より一層つくり育てる漁業へのニーズが高まっている状況にあります。
このため、前浜における水産資源の維持・増大を目指して両漁協がそれぞれ取り組む「コンブ投石事業」、「稚ナマコ放流事業」、「ホタテ稚貝放流事業(砂原漁協)」及び「未利用資源活用試験事業(森漁協)」について、本年度も支援してまいります。
一昨年から藻場の回復などを目的に着手した「水産業サステナブルチャレンジ事業」につきましては、一定程度の成果を踏まえ本年1月に日本製鉄株式会社と共同でJブルークレジット認証申請を行っております。また、昨年度ブルーカーボンに関する協定を締結した北海道電力株式会社につきましても、引き続き藻場造成に関する提案も受けておりますので、今後も両社との事業を継続していくと共に、新たな企業との連携も目指してまいります。
また、当町の喫緊の課題でありますホタテ貝殻の再利用に関しては、北海道経済連合会の協力を得ながら、本年度から新たに石灰石代替として商品化した企業との連携を図ってまいります。脱炭素やSDGsといった環境に配慮しなければならない時代背景を追い風と捉え、アップサイクルの普及促進に取り組んでまいります。
産業振興と地域防災の両面で重責を担う森港湾並びに第3種砂原漁港につきましては、漁業活動や有事の際を見据えた安全性や利便性に配慮した機能が求められております。今後も森・砂原両漁協と連携しながら、関係省庁に対してより一層の財源確保や新たな視点での予算措置について強く要望してまいります。
また、石倉から沼尻までの第1種漁港は5港全てで施設の老朽化が著しく、管理者である北海道が事業主体となり、計画的に漁港機能の保全や強化に伴う各種工事を進めているところです。本年度も石倉漁港と沼尻漁港の浚渫のほか、蛯谷漁港の北護岸及び東護岸の嵩上げ工事に加え、掛澗漁港の北防波堤コンクリート打設工事を継続する予定であります。