- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道江差町
- 広報紙名 : 広報えさし 令和7年7月号
令和7年5月号の記事では、「事実の見せ方(経験則を踏まえた評価)」次第で、負け確定の人にも視線が集まることについて書きました。注目を浴びる言論は、人を説得する機会(人が説得される機会)をもたらし、少数派が多数派になったり、多数派が少数派を飲み込んだりする契機となります。
では、簡単な事例で考えてみましょう。たとえば、「地面が濡れている。」という事実があったとします。この事実に対し、どのような経験則を選択・適用して、どのように評価することができるでしょうか。「地面が濡れている。」のであれば、「雨が降れば地面が濡れる。」という経験則を選択・適用して「雨が降ったに違いない。」という新たな事実を推測すること(評価)があり得ます。ここで選択・適用された経験則は、一般的には「共感を得る。」ことができるでしょう。しかし、説得性に欠けています。「地面が濡れるときは、雨が降ったときに限られない。」という経験則が出されたり、又は「地面が濡れた範囲が車一台分程度にすぎない。」という事実を指摘し「雨が降ったのであれば、ある程度広い範囲の地面が濡れる。」という経験則を出されたりすれば、そこまでです。では、反論させないためには、どうすればよかったのでしょうか。「雨が降ったのであれば、この一帯はどういう景色になっていたのだろうか。」と想像し、そのような景色になっているかを調査確認し、その調査確認の結果に適切な経験則を選択・適用し、希望的な予測を徹底的に排除して、「雨が降ったに違いない。」ことが正しいといえるか、また反論に耐え得るかどうかという点を自ら徹底的に検証すればよかったのでしょう。この検証の結果として、肯定的な判断に達したのであれば、「雨が降ったに違いない。」という主張を展開すればよいでしょう。もし、そうでなければ、その主張は必ず失敗に終わるはずなので、そのような主張をしない(又は撤回する)という判断をしなければならないでしょう。
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法テラス江差 弁護士 川口 智博