- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道黒松内町
- 広報紙名 : 広報くろまつない No.564 令和7年5月号
黒松内町教育委員会教育長 鈴木浩勝
令和7年黒松内町議会第1回定例会の開催に当たり、黒松内町教育委員会の所管行政の執行に関する方針について申し上げます。
■I はじめに
第3期黒松内町総合教育大綱の基本理念は第2期に定めた「深く、強く、広い心の黒松内人を育む」を継続しており、優れた自然、人の魅力、そして町の歩みをしっかり踏まえ、ふるさと黒松内への誇りと愛着を持ち、世界に視野を広げ、多様性を尊重し、持続可能なまちづくりを支える人材を育むよう努めてまいります。
開館から40年余りが経過した総合町民センターは、老朽化に伴う改修工事を実施し、新たな「学びと子育て」の多世代交流複合施設として整備いたします。
子育て世代が安心して子育てができる環境づくりや子供の心と学びを育む学校教育、学び合いから地域づくりや生きがいにつながる生涯学習、健康づくりなどの教育施策に取り組んでまいります。
■II 主要施策の展開
次に、令和7年度の主要な施策について申し上げます。
◆1 学校と地域、保護者、関係団体が一体となりまち全体でこどもたちを守り育みます。
(1)こどもの心を育む学校教育
学齢期については、家庭教育事業の開催、学校・PTAなどとの連携から学習とともに、改めて家庭に対しては基本である生活リズム・生活習慣の確立を図るなど、家庭や地域社会の教育力向上に努めてまいります。
生徒指導については、子供の理解と人間尊重の教育を基盤に、教師と生徒の信頼関係及び児童生徒間の望ましい人間関係の構築、生命(いのち)の安全教室、情報モラル教育を行うとともに、規範意識や倫理観などの育みを担う家庭にも働きかけ、そして、「いじめを絶対にゆるさない」学校づくりのため、組織的な早期発見・早期対応と相談・支援体制に取り組んでまいります。
スクールカウンセラーによる支援を継続し、児童生徒と保護者の困り感や不安に対して学校と連携し、豊かな心の育成に努めてまいります。
(2)みんなでこどもを守り育む
少子化や地域連帯感の希薄化が進み、子供たちの成長に大切な原体験や多様な人々とのふれあいが不足している中、教育の出発点である家庭や地域社会における教育力の向上が一層求められており、子供に係る様々な取組は、第3期黒松内町ぶなっ子・子どもプランを基に進めてまいります。
乳幼児期については、人格形成の基盤を培う重要な時期であり、幼児教育及び保育における遊びや生活を通して学びの基礎となる経験を育み、自己肯定感が高められるよう努めてまいります。
認定こども園黒松内保育園では、学びや発達を促していけるよう、スポーツ教室や森のようちえん、支援が必要な児童への保育士の増員を行い、また、地域子育て支援センターでは相談業務や一時預かり事業などの取り組みをし、その関連経費を計上しております。
旧国保病院跡地に整備する市街地ふれあい広場(仮称)では、幼児や小学生も遊ぶことができるよう、子ども・子育て会議等の意見を受けて実施設計をいたします。
小学生の放課後の居場所として、児童クラブと子ども教室を実施し、学習活動やスポーツなどの取組から子供の自主性や創造性を育むとともに、夏・冬休みに子ども巡回バスを運行、今後、児童やスタッフ数の減少が見込まれるため、本町に合った放課後活動の体制を検討してまいります。
地域の中でお互い助け合いながら子育てを行うファミリーサポートセンター事業は、送迎サービスへの助成を加え、実施してまいります。
特別支援教育については、発達の遅れなどの早期発見や適切な支援・相談、全校での通級指導の実施のほか、「個別の教育支援計画」を基に保護者との情報の共有化を進め、児童生徒個々に応じた指導や支援を、小中学校の9年間取り組んでまいります。
◆2 幼児から学齢児まで切れ目のない一貫した教育を展開し、未来を担うこどもたちを育みます。
(1)こどもの学びを育む学校教育
社会に開かれた教育課程を理念に、「確かな学力健やかな体豊かな心」を総合的に捉え、多様な子供たちに、個別最適な学びや協働的な学び、主体的・対話的で深い学び、探求する学びを取り入れ、持続的な社会の創り手に必要な力を育んでまいります。
本町には、「本物で学ぶ」ことができる教育資源が多くあり、学校では地域の方々の参画により、環境教育、福祉教育と道徳教育の推進、そして、学年差に応じた防災教育やキャリア教育を進め、ふるさとの理解とその発展に向かう意欲や態度を育み、黒松内への愛着や良さを実感できる児童生徒を育成してまいります。
小学校から中学校への円滑な学習が進むよう、乗り入れ授業などの小中一貫した教育の推進と合わせ、町内の小学校間や中学校間での学習や小学校においては各校に応じた教科担任制を取り入れ、そして、小学校の学びや生活につなげるため、保育園と小学校との連携を行ってまいります。
児童生徒個々に合わせた基礎学力の定着と学習意欲の向上を図るため、学習支援員及び特別支援教育補助員の配置を継続し、また、オンラインを活用した中学生の町営塾を運営いたします。
ICT環境のパソコン一人一台端末の更新では、小中学校で統一した機種を整備し、デジタル教材や学習支援ソフトの活用による一人ひとりに応じた個別学習、リアルタイムで考えを共有する共同学習など新しい授業形態に取り組みます。
児童生徒の読む力や考える力、そして、豊かな心の形成につながる読書活動を進めるため、各学校の図書購入とともに、ふれあいの森情報館司書を派遣し、読み聞かせなど読書に親しむ環境の充実に努めてまいります。
スポーツ・文化面における部活動は、自信と意欲的な態度を育むなど、心身の成長段階での大きな契機になっています。部活動指導員を配置し、スポーツ少年団やスポーツ団体との結びつきを深める体制づくりを進めてまいります。
食育の取組については、栄養教諭による食育指導を行うとともに、地域食材の使用や衛生管理を徹底し、安全・安心で栄養バランスのとれた学校給食を提供いたします。
(2)こどもの未来を育む家庭教育
子供の「生きる力」を育むための教育は、学校だけで行われるものではなく、学校・家庭・地域が相互に連携しつつ、社会全体で取り組むことが不可欠です。
支援を必要とする幼児・児童生徒には、学校だけではなく、保健・福祉分野との連携を図り、より早期な対応を保護者理解の基に取り組んでまいります。
不登校などの児童生徒を対象にした教育支援センター(※1)では、児童生徒に寄り添い、学校復帰や社会的自立につながるよう、学校と保護者を結び付ける居場所として運営をしてまいります。
※1…平成31年度から、教育委員会が町民センター内に開設している教室