くらし 私の思い 町長への手紙 2025.7.29

■ヤチダモ人工林の伐採について
今冬、道道から「旧歌才自然の家」への入口付近のヤチダモ人工林が伐採され、現在、その跡地で建設物敷地としての造成工事が行われています。
今年度の町政執行方針で、『風力発電事業者に対して「未利用町有地」を貸与する』など支援するとしていますが、立派に成育している、しかも珍しい広葉樹のヤチダモ人工林という町民の貴重な財産を「未利用町有地」であると言いきる理由は何ですか。
また、同じ町政執行方針で、『温室効果ガスの吸収量の最大化に向けた取組として造林事業を推進する』としていますが、二酸化炭素吸収源として旺盛に成育している造林地を大規模に伐採したこととの整合性はどこにあるのでしょうか。
さらに、伐採したヤチダモを、町民に薪炭材として売り払ったようですが、用材としてはどのくらいの量が利用されたのでしょうか。
以上の疑問とあわせて、一営利事業者に対して、町民の貴重な財産を放棄してまで、便宜を払わなければならない納得できる理由を教えてください。

◆お答えします
風力発電事業者の従業員宿舎建設用地として貸与した町有地の周辺は、『ブナ北限の里づくり構想』に基づく公共施設を整備しています。今回の宿舎建設用地は、平成元年に農林水産省から町が買受けて所有し、当時は構想に基づく施設整備を計画していましたが、これまで利用してこなかったため、この土地を「未利用町有地」としています。

次に、町では、令和5年度に策定した「黒松内町地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、地球温暖化対策のための各種事業を行っています。その中の一つが「森林吸収源対策の拡充」であり、「造林事業」がそれに当たります。造林事業については、民間を除く本町独自の事業だけでも、当面3年間で12.5haの植林を予定しており、今回伐採分(0.5ha)をカバーし、吸収量の最大化に向けて貢献できる内容であります。また、実行計画では同様に、「風力発電事業者等との連携」を図り、再エネの普及を推進することも明記しています。再生可能エネルギーの拡大が地球温暖化対策に繋がっていると考えているからであります。
なお、今回の宿舎建設用地の貸与は、令和11年5月末までを予定しており、その後は、岩内・寿都地方消防組合黒松内支署の建替用地としての活用について、現在検討を進めているところであります。

また、伐採した木材の活用について検討しましたが、十分な生育のものが少ないことから用材としては利用せず、その他の方法で有効活用を図ることとしました。これまで町発注工事等で発生した木材の取り扱いと同様に町民に売り払いを行うとともに、キャンプ場で販売する薪として活用します。
今回の事業では約70立方メートルの木材が発生し、約20立方メートルをキャンプ場の薪として販売、町民への売り払いでは1回目で約40立方メートルを、秋に予定している2回目で残りを売り払う予定です。

一部営利企業に対して、便宜を払わなければならない納得できる理由とのことでありますが、先にも回答しましたとおり、再生可能エネルギーの拡大が地球温暖化対策に繋がっていると考えていることから、「黒松内町地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、風力発電事業者と連携して、地球温暖化対策に取り組んでいく必要があります。
当該風力発電事業は、完成すると22基全体で温室効果ガス排出量を「107,000t/co2年」削減できるもので、本町設置分の6基だけでも「29,000t/co2年」余りが削減でき、本町全体の排出量「23,701t/co2年」(2020年)を上回る削減量です。このようなデータに基づき、事業による温室効果ガス排出量の削減効果を事前に評価した上で、未利用町有地の貸与の可否を判断しているところです。なお、現在進行中のその他の風力発電事業についても、地球温暖化防止のため、町は積極的に支援していきます。

(紙面の都合上一部要約して掲載しています。)