子育て 令和七年度教育行政執行方針(1)

高山教育長

令和七年第一回泊村議会定例会の開会にあたり、教育行政の執行に関する主要方針について申し上げます。

今日の社会は、深刻さを増す少子高齢化、混迷の度を増すグローバル情勢、生成AIなどデジタル技術の発展といった大きな変化が相まって、社会や経済の先行きに対する不確実性がこれまでになく高まっています。そのような時代にあっても未来を担う子どもたちが、自分の価値を認識し、相互に多様性を認め合い、自信をもって自らの夢や目標に向かい進んでいけるよう、よりよい教育環境の整備につながる施策を推進します。

泊村では、昨年度から新たな村の施策として、小中学校の教育費の無償化が実現し、保護者の更なる負担軽減が大きく進みました。今後は小規模校だからできる特色ある教育の進展を目指してまいります。
以下、令和七年度において、重点的に取り組む施策について申し上げます。

■一 学校教育について
◇(1)変化する時代に対応できる力の育成
学校教育は「社会で生きる力」を育成するために、学力の基礎・基本の定着と社会で自立・共生するために必要な力を確実に身に付け、主体的に社会に参画していく力を育むことが大切です。
学力の向上につきましては、全国学力・学習状況調査結果の分析をもとに、成果と課題を明確にして授業の創意工夫や家庭学習の定着に努めてまいります。小中の連携を深め、教員による相互乗り入れ授業の取り組みをさらに進めてまいります。
また、一昨年度から児童生徒数や教職員数の減少という共通の課題を持つ神恵内村と小小連携・中中連携を始めておりますが、今年度は児童・生徒間の交流を更に促進し、小学校では今年度より旅行的行事も合同で実施する計画が進められており、中学校では教科間の連携を通して、より教科の専門性を高めるよう連携を進めてまいります。
さらに、小学校においては加配教員を活用した算数専科や体育のエキスパート教員による学力と体力の向上を図り、小規模校のメリットを生かした温かい学校づくりの取り組みを進め、中学校においては岩内高校からの乗り入れ授業を複数教科で実施するなど連携を強化することで質の高い授業を実現し、9年間の学びの連続性を意識しながら、今年度に更新予定のタブレット端末などのICTも効果的に活用した「個別最適な学び」と「協働的な学び」との一体的な推進を目指してまいります。

◇(2)豊かな心と健やかな体の育成
児童生徒が自己肯定感と人を思いやる心の醸成を図りながら、基本的な倫理観や規範意識を身に付け、自らの生き方を主体的に考えることができる力を育み、学校生活が有意義で充実したものになることが大切です。
学校運営協議会で議論された、「泊村の目指す子ども像」では、4つの柱として「自ら学び、自分の考えを表現できる子」「思いやりの心を持って、積極的に行動できる子」「健やかな心身を目指し、努力できる子」「ふるさとを愛し、ふるさとを大切にできる子」を掲げて、学校・家庭・地域が取り組めることを着実に進めてまいります。
いじめ対応につきましては、児童生徒の小さなサインを見逃すことなく、早期発見と早期対処への取り組みを推進してまいります。
児童生徒の健やかな体を育成するには、栄養教諭を中心に食を通して生きる力を育む食育を推進し、家庭を含め健康に対する意識の向上に努めてまいります。地元漁業者・漁業協同組合・漁協女性部の協力のもと、泊産の魚介類を献立に取り入れて、「地産地消」の意義を児童生徒に伝えてまいります。また、今年度より神恵内村の学校給食の調理・配送業務を受託することから、更なる安全な給食の提供に努めてまいります。

◇(3)地域と共に歩む学校づくり
児童生徒が自ら考え判断し、村の将来を担うたくましい人材を育成するためには、社会の変化に対応した教育環境の整備と学校・家庭・地域が一体となり、地域の声を生かした学校づくりを進めることが重要であります。
そのため、学校に対する地域の理解が進むよう、地域公開参観日の設定やHP・学校だよりによる情報発信など、開かれた学校づくりに取り組むとともに、学校を中心とした地域連携を進めるため「コミュニティスクール」の充実を図ってまいります。
学校経営については、学校長のリーダーシップのもと、教職員の研修会参加による資質能力の向上、服務規律の順守や昨今の危機管理・感染症対策への対応など、保護者や地域から信頼されるよう進めてまいります。
学校における働き方改革については、教職員の働き方改革の意識を高める取り組みや保護者・地域等との連携協働を推進するほか、学校が「働きやすさ」と「働きがい」を両立する職場となるよう取り組みます。