くらし 特集 -「かいご」に寄り添う(3)

■表紙
今年の6月で104歳になる中村ハツヱさんは、長男・元穂さんと妻・ヒロ子さんのご夫妻が面会に来る日を心待ちにしています。
この日もご夫妻の顔を見ると、目尻を下げるハツヱさん。ハキハキとした口調で冗談を言い、2人を笑わせます。
そんなハツヱさんは、101歳までご自宅で生活をしていました。ご夫婦の献身的な支えが、今も笑顔の絶えない面会時間をつくっています。

■101歳の母親 自宅で支えた中村さんご夫妻
妹背牛町老人保健施設「りぶれ」で生活する、中村ハツヱさん(103)は101歳になるまで、自宅で暮らしていました。その生活を支えたのが、長男・中村元穂さんと妻・ヒロ子さんのご夫妻です。
そんな2人にハツヱさんとの生活を振り返ってもらうと、長い間、家族3人で暮らせたヒントが見えてきました。
「介護と言っても、生活全般を手伝うことはしませんでした。お母さんのために、できるだけ自分のことは自分でやってもらえるよう、自由に過ごしてもらいました。足腰に貼る湿布を半分に切ったりすることなど、一人では難しい動作を私たちに言ってもらうようにしました」

◇出来ることを支える介護
ハツヱさんは、食べることが大好きです。好物は、カボチャの煮物やキノコ類。3食必ず決まった量のご飯を残さずに食べていました。
いつも家族一緒にご飯を食べていましたが、ハツヱさんの背中が小さく丸まってくると、テーブルの高さが合わなくなりました。その時は、お腹を近づけることができる、キャスター付きの丸いテーブルを買い、高さを5センチほど低くして、一緒に食事を楽しむ日常を続けました。
ハツヱさんは、1日の大半を居間の一人掛けソファで過ごしました。夏場は朝5時に起床し、折り紙や塗り絵の道具を持ってきて、楽しそうに指先を動かしました。疲れない姿勢を保ってもらおうと、自宅にあった、ちょうど良い高さのキャットタワーに合板を取り付けた作業台は、中村さん夫妻の手作りです。
ハツヱさんは活字が好きで、毎朝1時間半かけて新聞の朝刊を隅々まで読んでいました。疲れてきたらソファでウトウトしたり、中村さん夫妻との会話を楽しんだり、みんなでテレビを見たり…。就寝する午後8時ごろまで、居間で家族との時間を過ごしました。
「介護をしているつもりはなかったので、大変だと感じることも特にありませんでした。ただ、お母さんを見ていると、辛くなる出来事がありました」

◇夜間のトイレで転倒福祉用具を設置
デイサービスを利用していたハツヱさんが白寿を迎えるころ、夜中に自宅の1階から鈍い音が聞こえてきました。2階で寝ていたヒロ子さんは目を覚まし、急いで1階にあるハツヱさんの寝室へ。すると、トイレへ向かう途中に転倒し、這いつくばる姿を目にしました。
夜中もハツヱさんを見守れるように、中村さん夫妻は1階で寝ることにしました。
後日、地域包括支援センターに相談。はじめは簡易トイレの設置に抵抗を感じていたハツヱさんでしたが、次第に納得するようになり、介護保険サービスを利用してベッドの横に設置しました。このほか、玄関やお風呂などに手すりを備えました。
2021年6月、ハツヱさんは自宅で100回目の誕生日を迎えることができました。中村さん一家が集まったお祝いパーティーでは、巻きずしやグラタンなど、ヒロ子さんの手料理を味わい、ひ孫からプレゼントのぬいぐるみをうれしそうに受け取りました。
翌年、101歳になったハツヱさんは「りぶれ」に入居。自宅で夢中になっていた折り紙を今も楽しんでいます。