子育て 特集 子どもたちの食を支える施設(1)

■より安心・安全に
昭和55年に運営を開始した猿払村学校給食センターは築45年が経過しており、老朽化や学校給食衛生管理基準への適合が問題となっていました。たびたび修繕を行ってきましたが、子どもたちに、より安心・安全な学校給食を提供するため、新たな施設を整備しました。

■新たな施設に
令和5年7月から今年1月にかけて工事が進められ、今年1月16日から猿払村学校給食センター「さるっこキッチン」として新たに稼働しました。以前の学校給食センターよりも倍以上の広さとなり、より効率的な作業が可能に。
また、災害時には非常用発電機が作動し、食材を安全に冷凍保存することができるなど、大規模災害時における食料供給基地としての機能も備えた施設となっています。

■村民に親しまれるよう
村民に親しまれ、愛着を持っていただける施設となるよう、村内の小中学生を対象に新しい学校給食センターの愛称を募集。15点の応募があり、選考の結果「子どもたちが学校給食を食べて元気で頑張れるように」との思いから名づけられた「さるっこキッチン」が選ばれました。

・看板にはさるっぷの姿も!

■施設概要
住所 鬼志別西町85番地
延床面積 894.52平方メートル
調理能力 1日約460食

■食育の推進に向けて
□食育研修室
ガラス越しに調理室を見学できるほか、各室に設置されたカメラの映像を大型モニターで確認することができます。また、Wi-Fiの完備によってタブレットを活用した食育事業の展開を可能とし、村の食育推進発信基地としての活用が期待されます。

□調理室(食育事業)
学校給食センターでは、小学校の長期休業期間中、保育所所管事業である「学童保育」の給食調理も担っています。そのほかにも、令和7年3月には和菓子作り教室や猿払産夏いちごを使用したスイーツ教室など各種料理教室が開催されており、今後も様々な事業の展開が期待されます。

■さるっこキッチン大解剖!
(1)荷受室
各配送車が運んでくる食材をここで受け取ります。

(2)下処理室
3槽のシンク2台で野菜や果物を洗浄し、下処理を行います。ジャガイモやニンジンなどの泥がついている野菜は、ほかの食材と混ざらないよう泥落とし室で一度きれいに泥を落としてから下処理を行います。

(3)検収室(肉・魚専用)
肉・魚専用の検収室を配置し、ほかの食材が混在しないよう区分けをしています。急に食材が必要となった場合に使用する、流水解凍専用のシンクもあります。

(4)食品庫・計量室
納品された食品を一時的に保管する冷蔵庫・冷凍庫を配置した食品庫と、調味料を計測する計量室です。

(5)調理室
ガス回転釜1台、蒸気回転釜2台を配置し、汁物や煮物を調理します。蒸気回転釜は、釜全体に熱が行き渡りやすい構造のため、汁物などの調理に適しています。

(6)和え物室
加熱した野菜を急激に冷却することができる「蒸煮冷却機」によって、調理の効率化を図ります。

(7)食物アレルギー食調理室
食物アレルギーを有する児童・生徒への代替食などは、専用の調理室内で調理して提供をしています。

(8)配送準備室
調理が完了した学校給食を食缶に入れ、数量を確認し、ここから配送車へ積み込みます。

(9)洗浄室
学校から回収された食器・食缶を洗浄します。新たに導入した食器浸漬槽によって予洗いを重点的に実施し、洗い残しのないよう洗浄します。

■発見!施設のひみつ
1 跳ね水を防ぐ
床からの跳ね水による汚染を防ぐため、常に食材が60cm以上の高さになるように、資機材を配置しています。また、床にはドライシステムが搭載されており、床を濡らさないような工夫がされています。

2 温度と湿度を徹底管理
食中毒の発生を防ぐため、作業区域は常に温度25℃・湿度80%以下を保つようにしており、器具類を保管している保管庫も適切な温度を保つよう設定されています。

3 大規模災害に備えて
炊飯・焼物・揚物室に配置されているガス炊飯器は、停電時に非常用発電機から供給される電気で稼働することが可能です。また、ガス回転釜は電気を使用しないため、これらは大規模災害時に炊き出し用の調理器具として活用できます。

4 エプロンの色
誰が何の作業をしているのかを把握し、食材の混入などを防ぐために、作業ごとにエプロンの色分けがされています。
・黄 調理中
・緑 配缶中
・青 魚の調理中
・赤 肉の調理中
・橙 アレルギー代替食調理中

■さるっこキッチンの裏側に潜入!
皆さんのもとに安心・安全なおいしい学校給食が届くまでを取材しました。

・星形ハンバーグ
9:45 ハンバーグを並べる 効率よく焼くために、星形の凹凸を組み合わせながら並べます。
10:00 ソースを作る 蒸気回転釜とスパテラを使い、ハンバーグにかけるソースを調理します。
10:10 ハンバーグを焼く トレイに並べたハンバーグを、スチームコンベクションオーブンで焼き時間と温度を設定し、焼いていきます。

・マカロニスープ
9:30 具材を切る 角切りやイチョウ切りなどの複雑なものは手作業でカットしています。
9:45 マカロニを茹でる 煮崩れしないよう、野菜を煮る前にマカロニを硬めに茹でておきます。
10:10 野菜を入れて煮る 野菜に火が通ったら、マカロニを加え、コンソメやコショウで味付けをします。

・ささみときゅうりのゴマドレサラダ
8:30 野菜を切る サラダ用の野菜を機械で細切り・輪切りに自動でカットします。
9:30 野菜を蒸煮・冷却 和え物室の蒸煮冷却機でサラダ用の野菜を蒸し、その後急速冷却します。
10:30 ドレッシングで和える 冷却したサラダの品質を保つために、配缶の直前に野菜とドレッシングを混ぜ合わせます。

・配缶・配送
10:30 配缶 各学校・学年の人数に合わせて計量しながら食缶に盛り付けます。
11:00 配送 食缶をトラックに積み込み、配送室から村内の各学校へと給食が届けられます。

各学校の給食時間に間に合うよう、かつ、学校給食完成から2時間以内に子どもたちに食べてもらうために、食材を炒め始めるタイミングや炊飯をするタイミングも早すぎず、遅すぎない時間できっちりと決められています。

■この日は七夕メニュー!/
7月8日の献立
・ごはん
・星形ハンバーグ
・ささみときゅうりのゴマドレサラダ
・マカロニスープ
・さるふつ牛乳
・七夕ゼリー