- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道別海町
- 広報紙名 : 広報別海 2025年4月号
◆I はじめに
令和7年別海町議会第1回定例会の開会にあたり、町政執行に対する所信を申し上げます。
私は、総合計画の単位である5年10年という期間での施策だけではなく、50年先を見据えた3つの施策方針を中心に行政執行に取り組みます。
◇3つの施策方針
1つ目「財政基盤の確立」
税収額があまり増えていかない中で、住民サービスは年々増加しています。今のままでは、財政破綻の危機も十分考えられます。
歳入不足分には基金を取り崩していかなければならなくなりますが、財政調整基金から毎年4億円前後を充当していくようになると、200億円の基金が必要となります。
そのためにも、ふるさと応援寄付金を大切に利活用してまいります。
2つ目「社会基盤施設の整備」
建築・建設物は早期に補修や改修等を施工していかなければ、寿命が短くなってしまいます。こまめに手入れしていくことが大切です。
町内には昭和時代に整備された各種施設が多々ありますが、昨今騒がれているような「壊れてから対応する」のではなく、破損する前に50年先を見据えた補修や改修をしていくことに取り組みます。
3つ目「産業への投資」
本町は一次産業地域ですが、一次産業だけでは町の衰退は必須です。
二次・三次産業をあわせもったまちづくりが大切です。
酪農・水産業は将来に生産増の期待が持てるような投資事業への支援を実施し、二次・三次産業へは製造・販売力の強化や施設の増改修、インバウンド対応等を支援することにより、経営者や従業員の希望や夢を育むことを目指し、50年先の町の経済を支える基盤となっていただけることを願っています。
今年は、私が行政執行を託されるようになってから10年目となりますが、これからも町民の皆さまと共に知恵を出し合い、対話を大切にしながら「次世代への投資」「老後の安心」「経済の成長」という三本柱の実現に向け全力で取り組む決意を新たにしているところです。
また、本町のまちづくりを進める上での最上位計画である「第7次別海町総合計画」は、昨年12月に国のデジタル田園都市国家構想に基づく地方版総合戦略との一体化を図りながら中間見直しを行いました。
本計画に掲げる各般にわたる政策の推進と健全な行財政運営を基本としながら、地域創生へと果敢に挑戦し、活力に満ちた住みよいまちづくりを一層推進してまいります。
それでは、「第7次別海町総合計画」に掲げる6つの基本目標に沿って令和7年度の主要な施策について申し上げます。
◆II 主要な施策の推進
1 地域資源を生かした産業のまち
本町は、国内有数の食料生産基地としての責務を担っており、国産食糧自給率の向上、別海産食料の需用拡大のための啓蒙啓発を図っていきます。
酪農経営的には外国産輸入配合飼料価格が高止まりしている状況が続いていることから、国内の飼料生産基盤に立脚した足腰の強い経営を推進するため、自給飼料の一層の生産拡大と高品質化に向けた取組を支援します。
新たな担い手の確保および後継者対策については、町や関係団体で構成する別海町担い手支援協議会および産業後継者対策相談所を中心に取り組むとともに、新規参入者および後継者が円滑に就農できるよう、地域プロジェクトマネージャーを活用した支援体制の強化を図ります。
水産業の振興については、地域の基幹産業として持続的な漁家経営と魅力ある漁村環境の確立に向け、「資源」「特性」「人材」の3つの取組を柱とした「別海町漁業・漁村振興計画」を新たに策定しました。
これを基に水産資源の維持増大、漁業生産基盤の充実と経営基盤強化、豊かな水産物の流通加工対策、漁業後継者対策などを共通指針として、漁業者、漁業協同組合等と連携を強め、付加価値の増強や増養殖への試行など、本町における漁業・漁村の可能性を最大限発揮できるよう取り組みます。
森林環境の保全については、森林の持つ多面的機能の発揮に向け、計画的な町有林整備を行うとともに、適切な私有林整備に対する支援を継続するほか、森林環境譲与税を活用した河畔林整備、木材利用の促進や普及啓発など、森林の総合的利用を推進します。
観光の振興については、各観光施設の入込数も増加傾向にあり、国内外からの観光客が戻りつつあります。
今後も、交流人口および関係人口の増加と地域の活性化に向け、観光施設の整備・充実を進めることにより、滞在型観光の充実に努めます。
また、現在休止している、ふるさと交流館の宿泊やレストラン部門の再開に向けた準備を進めます。
商工業の振興については、少子超高齢社会の進行等の影響による人手不足が深刻化していることから、就職奨励金や奨学金の返還支援により町外に出た若年層を呼び戻し、町内での就業促進を図ります。
また、各種融資制度や、起業家支援などの中小企業支援策を推進することで、地域の特色を生かした産業を創出するとともに、町内事業者が将来にわたって安心して事業が続けられるよう、経営基盤の強化、人材の育成を図ります。