くらし 【巻頭特集】みずみずしい、冬の味覚 おいしいセリの話題アラカルト

本市は全国一のセリの出荷量を誇ります。
寒さが厳しくなり、名取のセリをたくさん浮かべたセリ鍋がおいしい季節になりました。
鍋以外にも天ぷらやお浸しなどセリが食卓に上る機会が多いこの季節、本市のセリにまつわる話題を追いかけました。

■セリ鍋をフリーズドライ化
「お湯で戻す時間は5分ぐらいだと食感に違和感がない」「野菜は小さめに切ったほうがいい」
昨年11月末、宮城大学太白キャンパス(仙台市太白区)の教室で学生たちが話し合っていました。
これはセリ鍋のフリーズドライ(凍結乾燥)化に向けた試食検討会のひとこま。本市と同大学、飲食業「有限会社まるしげ」は昨年6月から本市の産学官連携促進事業の一環で、セリ鍋のフリーズドライ化に取り組んでいます。
この日は具材の大きさが異なる3つの試作品を熱湯で戻して食感や風味などを確認。商品化に向けた意見を出し合いました。
同大学の西川正純・食産業学群教授は「試食した感じは想像以上に良かった。当初は難しいと考えていたが商品化への光が見えてきた」と話します。
セリ鍋のフリーズドライ化によって(1)いつでも手軽に食べられる(2)持ち運びやすさと保存性が高くなり、お土産品などとしても活用できる―といいます。
「セリ鍋がおいしい時期は寒い冬の時期だが、一年を通してセリ鍋を楽しんでもらえるインパクトは大きい」と西川教授。同大学などは今年度中の完成を目指して検討と開発が進みます。

■ハウス内で養液栽培
収穫は水に漬かって行う―。そんなセリ収穫のイメージが一変するかもしれません。
ビニールハウスの中に据えられた水槽のような「高設ベンチ」でセリが育っています。県農業・園芸総合研究所(高舘川上)が令和4年に開発した「宮城型セリ養液栽培システム」です。
地面から約80センチメートルの高さに設置された高設ベンチの中で水と養液を常時循環させ、底に敷き詰めた瓦のチップに苗を根付かせます。
鹿野弘・上席主任研究員は「地面より高い位置で栽培することで立った状態で作業ができる。水の中で腰をかがめて行う作業から解放される」と説明します。
おととしの試験栽培では露地栽培とほぼ同じ収量(1平方メートルあたり約2キログラム)で食味や食感も引けを取らない出来だったといいます。
「植え付け時期を変えることで出荷時期が広がり、水や肥料などの栽培管理をマニュアル化することで新規栽培者でも栽培が可能になる」と鹿野さん。新たな栽培技術への展望を語ります。

■ブランド保護
昨年3月、主に本市で生産されている「仙台せり」が農林水産省の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。
この制度は地域で育まれた産品の名称を知的財産として国が保護する取り組み。登録によって「仙台せり」のブランド力向上につながることが期待されます。
名取でセリの栽培が始まったのは今から約400年前の江戸時代と言われています。自生の野生種に改良を重ね、現在、私たちが食べているセリができたといいます。
セリを味わう機会が多いこの季節。ブランドと味覚を守り続けてきた先人たちの努力に思いを馳せたいものです。

※詳細は、本紙P.4~5をご覧ください。