文化 ときめき人~Tome bito~

■心に響く歌の魅力を登米の地から
迫町・新田駅前 千葉 静子(ちば しずこ)さん
1965年生まれ
Profile:洗足学園音楽大卒。オペラのほか、ミュージカルや新劇の舞台にも出演するなど、幅広いジャンルで経験を積んできた。自身の体を「楽器」と捉え、体に良いものを追求していく中で、ハーブや薬草に関する資格も取得している。

「自分にできるのは歌うことだけ。でもそれが誰かの世界を広げるきっかけになれば、とてもうれしい」と千葉さんは笑顔を浮かべる。
日本で最も歴史のあるオペラ団体「藤原歌劇団」に在籍し、20代からソプラノ歌手として国内外の舞台で活躍してきた。30代の時、関東から父の故郷である迫町へ活動拠点を移したことを機に、水の里ホール・Abebisou(登米祝祭劇場)で開催された創作舞台「夢フェスタ水の里」の立ち上げに深く関わった。声楽家として活動する一方、指導者として多くの合唱団の活動に携わり、今もなお地域の音楽活動を支え続けている。
60歳という節目の年を迎えて、「教える立場のはずが、逆に教わることも多かった」と、これまでを振り返る。指導する合唱団には、毎月の練習を心待ちにする90代の団員もおり、「100歳まで続けたい」と話すその笑顔に、千葉さん自身も励まされ、パワーをもらっている。また、「オペラに憧れていたが、やれる場所がなかった」と話す若者が、合唱団に参加してのびのびと歌を楽しむ姿を見て、大きなやりがいと希望を感じたという。
「歌は誰でもチャレンジできるものだけど、直接触れる機会や学べる環境はまだ少ない。自分にできる範囲で、歌の魅力を伝えていけたら」と意気込みを語る。今後は、子どもたちを対象に、生の音楽を届けるアウトリーチ活動にも取り組んでいく予定。登米の地から響く歌声は、世代や地域を越えて、多くの人の心に届いていく。