- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県井川町
- 広報紙名 : 広報いかわ 2025年4月号
4月は、新年度の始まりで、新しい環境、人間関係や新たな目標が待っている季節。新入生、新社会人だけでなく、全ての人が、それぞれの立場で新たな一歩を踏み出すはずだ。ところで、なぜ、年度の始まりが4月なのか疑問に思ったことはないだろうか。
そもそも「年度」という概念は、行政や財政の運用と深く関係しており、国が税金を徴収、それを使い政策を進めるには、一定の期間を区切って収支を管理する必要があるため「会計年度」が設定されているが、これが元となっている。調べると、年度の始まりは、国によって異なり、アメリカの会計年度は10月始まりだが、学校は9月始まりが一般的。韓国の会計年度は1月始まりだが、学校は3月始まりで、実に様々。日本のように全てが4月始まりとなっている国の方が珍しいのかもしれない。
日本で会計年度の制度が確立したのは、明治時代のことで、明治2年は旧暦10月始まり。西暦を採用した明治6年からは1月始まり。明治8年には地租の納期に合わせる目的で7月始まりとコロコロと変わったが、明治19年から4月始まりになり今に至る。これほど変更して混乱が生じなかったのか疑問は多々あるが、変更の理由は、新米の収穫後と納税のタイミングや、財政の帳尻合わせなど、政府の都合で変わってきたようだ。この会計年度に合わせる形で、もともと9月入学だった学校が4月入学に変更され、入社時期等を考慮した企業等にも影響が広がり、日本の新年度は4月始まりが一般化した。
日本では年度の切り替わりが、会計上の話にとどまらず、既に文化や暮らしにも深く根付いていると感じることは多いし、四季の影響も大きいのだろう。寒い冬があけた春という季節と、新年度の始まりが重なることで、毎年、新たな気持ちになる人は多いはずだ。もし日本の年度が1月や10月始まりだったら、桜の下での入学式はないし、冬に向かって気持ちを新たにすることができたのだろうか。秋田の冬を考えると、年度の変わり目に感じる期待感は薄まっていたのではないかと思う。
年度の切り替わりは、単なる行政上の決まりではなく、気持ちを新たにできる大切な節目である。今年の4月が素晴らしい年度の始まりになることを期待したい。