- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県東成瀬村
- 広報紙名 : 広報ひがしなるせ 令和7年6月号
■仙北街道を語る会(それから)
歴史を楽しむとはあまり言わないが、故郷に関わるとなれば事は違う。「仙北街道を語る会」の皆さんは楽しそうに故郷の出来事(歴史)を語る。回を重ねるごとに仲間と故郷が拡がる。東成瀬、湯沢、胆沢(岩手)、金ケ崎(岩手)の有志の集まりが、横手、十文字、鳥海、石鳥谷(岩手)と拡がりを見せた。そして今回、一関(岩手)を故郷にもつ「関西阿弖流為・母禮(アテルイ・モレ:※1)の会」の相談役・和賀亮太郎さんが、遠く京都から参加してくれた。和賀さんの参加には次のような経緯(いきさつ)がある。
京都・清水寺に、阿弖流為・母禮の顕彰碑がある。この顕彰碑は、関西在住の岩手県立水沢商業高校の出身者の集い「関西水沢同郷会」の活動が発端となり、1994年(平成6年)に建立。顕彰碑の前で毎年11月に、阿弖流為・母禮の法要を執り行っているという。その法要に「仙北街道を語る会」の皆さんに参加してほしい旨の誘いがあり、金ケ崎(出身)のお二人が参加した。その席で、和賀さんからぜひ「仙北街道を語る会」の皆さんにお会いしたいと言われたそうである。
5月下旬、和賀さんをお招きし、上野(御徒町駅前)の居酒屋で懇親会を催した。簡単な自己紹介の後、和賀さんに「関西阿弖流為・母禮の会」の活動状況を語っていただいた。阿弖流為・母禮とは?何せ書物でしか知り得ぬ歴史人物。にわか勉強をして臨んだのではあるが。歴史を辿る岩手の友人たちの探求に感心することしきり。故郷に伝わる英雄の誇りは、語る方も聞く方もいやが応にも力がこもる。歴史を身近に感じさせてくれる楽しいひと時であった。
〝その時代の人物や歴史的背景を学び、故郷の歴史・文化を知る〞「語る会」が目的とする一つである。「この地で」という歴史のキーワード。「仙北道」の歴史・文化を共有する県境を挟む友人たち。お互いの故郷を語り合いながら、歴史を深堀りしていきたいと思う。
※1:8世紀末から9世紀初頭に、陸奥国・胆沢(現在の奥州市)に権勢を誇った蝦夷(えみし)の族長。朝廷と戦った蝦夷の頭領(アテルイ)と副将(モレ)をいう。
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