- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県郡山市
- 広報紙名 : 広報こおりやま 2025年5月号
郡山市長 品川 萬里
このたび任期満了の4月26日をもちまして、3期12年間にわたる郡山市長の職を退任いたしました。
振り返ると、東日本大震災から2年が過ぎ、愛する郡山が復興に向けて力強い歩みを進めていた2013年4月、多くの市民の皆さまから負託を受け、第14代郡山市長に就任いたしました。就任直後の2013年「広報こおりやま5月号」の巻頭ページに「就任にあたって」と題し、私の決意を述べさせていただきましたが、退任にあたりまして、今一度、この決意のほどをご紹介いたします。
『4年間の市民としての活動を通して、年齢、性別、職業、居住地を問わず、秀(すぐ)れた人材に数多く出会い、日に日に郡山が好きになりました。
この方々はもとより、市民の皆さまの力をフルに発揮していただくならば、非常時にある郡山もきっと見事に復興し、更なる発展を遂げると確信しております。
市長の役目は、市職員と異体同心で市政遂行に努め、市民お一人おひとりに存分にご活躍いただく条件を整えることにあると固く決意いたしております。
「一利を興(おこ)すは一害を除くに如かず」と申します。
市政全般にわたって、市民の自由闊達(じゆうかったつ)な活動を結果として押さえている不合理な制度や政策はないかを点検して、より良き政策、制度にカイゼンしてまいります。見直しは議会と二人三脚で進めてまいります。一害情報を、請願や行政相談をも活用してどんどんお寄せください。新しい発想でドンドン手直しいたします。行政の基本ルールである条例についても、リフォームし、あるいは国の制度を先取りした条例もつくりたいものです。
国や県にも市民の生活感覚を大事にして、もの申していきます。その市民感覚を常に研ぎ澄ますため、市民の皆さまと座談会を持ち、膝をつき合わせて対話を深めてまいります。
対話のスピードアップのために、ITをフル活用できるよう装備の近代化も図ります。
市役所をあげ、三現主義(現場、現実、現物)で郡山ナウ!に触れ、市政データを活用して説明責任を果たし、PDCAの行政サイクルを回していきます。
道は険しくとも目指しましょう。子どもが独りで歩けるまち、一人旅できる子どもが育つまち、高齢者(私もその一人です)が大往生を遂げることができるまち、起業家が続々生まれるまち、市役所が頼もしいまち、千客万来のまち、を…』(2013年「広報こおりやま5月号」より)
今読み返せば、郡山の未来への投資を考える立場として「市長はCFO(最高財務責任者)たれ」と記載すべきだったと反省しております。
さて、この決意表明には、就任前に私が郡山を隅々まで歩き、皆さまの声をお伺いしていく中で、愛する郡山が見事に復興し、そのポテンシャルを最大限に活かすことにより、日本のみならず、世界のモデルとなる理想の姿と、その実現に必要な手段を記しております。
理想の実現には容易ではない課題も数多くあり、現在の郡山の姿との比較や検証も必要でありましょう。皆さまとともに歩んだ市政運営がどのような意味を持つかは、後世の評定をいただきたいと存じますが、私にとっては持てる全てをかけて取り組むべき、不惜身命(ふしゃくしんみょう)の光栄な任務でありました。
今後の郡山が、オルフェウス室内管弦楽団のように、指揮者がいなくとも素晴らしい楽曲を奏でるまちとなられることを期待するとともに、これまでのご支援とご協力に心から感謝申し上げ、退任のご挨拶といたします。