健康 ほっときらり通信

喜多方市地域・家庭医療センター「ほっと☆きらり」
医師 武田仁

■乳幼児のアトピー性皮膚炎について
みなさんこんにちは、今回は「アトピー」の話です。「アトピー」とはギリシャ語由来の言葉で、「場違いな」という意味です。つまり、他の湿疹・皮膚炎があまり生じない、顔面、耳介、肘や膝関節の内側など特徴的な分布を示す「場違いな」皮膚炎ということで、「アトピー性皮膚炎」と名付けられています。アトピー性皮膚炎の診断の際にはこの特徴的な皮疹の分布に加え、強い痒みを伴うこと、そしてアトピー性皮膚炎、気管支喘息などのアレルギー性疾患の家族歴・既往歴などを確認して、総合的に判断します。乳児期は皮膚がまだ未成熟であるため、乾燥や刺激に弱く、あせもやドライスキンによる湿疹が起こりやすく、「乳児湿疹」という病名があるぐらいです。外来で相談を受ける方の多くは、アトピー性皮膚炎の特徴は少なく、一過性の乳児湿疹の場合が多いです。アトピー性皮膚炎は必ずしも難治性ではなく、1歳でアトピーと診断された乳児の7割近くが、4歳時には軽快していたという報告もあります。
大事なことは、アトピー性皮膚炎かどうかにかかわらず、皮膚の乾燥や湿疹があればまず1日2回、白色ワセリンなどによる保湿を行い、刺激性のある強い石鹸やウール製品などの使用を避けるなど基本的なスキンケアを行うことです。皮膚炎の治療を十分に行わないと、食物アレルギーを発症しやすいことがわかっています。強い痒みや湿疹があれば皮膚科・小児科の医師に相談し、適切な外用治療を受けましょう。