- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県国見町
- 広報紙名 : 広報くにみ 令和7年4月号
■第二十四回 閑居寺(かんきょじ)の和尚(おしょう)
ばくちうちを さとし去りゆく 閑居寺和尚
昔、泉田の閑居寺という山寺があり、その寺から毎日、里へ下りては托鉢(たくはつ)(修行僧が鉢を持って経文を唱えて米や金銭の施しを受け回ること)するお坊さんがいました。「長年回っているので、ずいぶん貯まっている」と、うわさを聞きつけたチンピラたちは、ばくちで遊ぶ金がほしいため、山寺へ押し入った。
「坊主、金貸せ、ばくちの元手にすんだ。」
すると、お坊さんは少しも騒がずに「ああ来たか。これ、持っていけ」と一切合財、出してやったそう。そして、「この金は、前の世に私がお前たちに借りていた金だ。今、先の世まで、お前たちに貸しておく。まあ、持っていけ」と、因果因縁を説きながら渡した。
チンピラたちは、金をもらったものの、そのときの説教が身に染み、ばくちから足を洗い、真面目に働くようになったそうな。
数か月後に、山寺へお詫びに行ったが、既にお坊さんは、岩手の方へ旅立った後だった。