- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県大玉村
- 広報紙名 : 広報おおたま 2025年7月号
■花・野菜・植物たち(5)
箱﨑美義著
◆(4)つづき
株ごとの、たんぽぽの生態(生ざま)を見ると、毎年5月頃から日当たりのよいところ野原などに、先づ、ノコギリの刃に似た数枚の葉を生長させ、のちに花蕾をのきのき発生次々と開花し後に扇型の冠毛をもった種子を実らせ風などでこの種子が飛散させた空の花茎となった4つのステージ(段階)を10月頃まで続き、以後に茎葉が枯死し根だけが地下に残る。この根から毎年、葉、花が生長し毎年くり返し仲間を繁栄させている。
◆舞姫のチョウ(蝶)のタンポポ
焼けつく猛暑、凍りつく寒風にもめげず、とても厳しい自然と戦いながら、いつ、どことなく日当たりのよいところに群りながり次々と咲き開く可憐な花々それがタンポポである。とても明るい黄色の細長い花びらに、おしべとめしべをそなえもった両性の小花が一つの茎先に150から200花が、びっしり集まって一つの花を形づくっている集合花ともよばれている。この花には、なぜかチョウやハチたちがしっきりなしにやってくる。強い香りと花色に引き寄せられるためなのだろうか。精一杯に咲き広げた花びら、めしべは、直立した丁度ブラシ状に密生している。花の上は、よく見ると、丁度、剣山のように、とげとげしい。花粉も甘い蜜も花の奥そこに潜められている。口先、肢(あし)の短い昆虫たちの飛来を避けるためだ。なぜか花の中にもぐって食い荒し、あげくの果ては、自分の性の営みの妨げに終わってしまうのを花は、よく知っているからだ。長い口先と長い肢のチョウたちでなければ花に止まることさえもおぼつかない。甘い蜜を求め、花粉をむさぼるには、長い口先を花奥底に、あちこちと忙しく何回となく差しこむ。そんなしぐさからチョウたちの体についた花粉は、花から花へと運ばれ受粉しタネ(種子)がつくられる。この虫蝶花の花は、すでに述べた風媒花の花と違っていて大きな花びらを精一杯広げカラフル(はなやかさ)で、明らかな蜜しるべ(蜜のありか)をもち、とてもよく目立つ花が多い。おしべの花粉をみると、表面に粘液や突起物を備え、虫たちの体に着きやすくなっている。いつも蜜を豊富に蓄え、強い香りを発散し、虫たちを引き寄せる工夫を凝らしている。
◆パフォーマンス(演技など)のタンポポ
とても小さなタネをつけたパラシュート(落下傘)がついたどこからともなくふわりふわりと空中をさまよいながらやってくる。風間に種を下につけたパラシュートがいつとなく、空中をさまよいながら暇もなく地上におりる。