- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県双葉町
- 広報紙名 : 広報ふたば 2025年4月 災害版 No.167
(2)産業・エネルギーについて
商工業の発展については、「働く拠点」として整備を進めてきた中野地区復興産業拠点では、現在24の企業と立地協定を締結し、18社が操業を開始しております。昨年8月には、大和ライフネクスト株式会社が整備するカンファレンスホテルの建設が始まり、今後は株式会社ビーエイブルによる廃炉ロボット等の研究開発拠点の整備などが見込まれています。引き続き、中野地区復興産業拠点の基盤整備と企業誘致を進めてまいります。
また、操業奨励金の拡充や雇用促進奨励金の要件緩和などにより、新たな企業の進出を促すとともに、既存事業者の町内における事業再開をさらに後押ししてまいります。
双葉駅周辺に目を向けると、チャレンジショップ機能やコワーキングスペースを民間主導で整備した施設「FUTAHOME(ふたほめ)」が先月オープンしました。
旧東邦銀行双葉支店の利活用については、スモールオフィスやコワーキングスペースなど、起業家向けの設備を備えた産業創出・交流の場として整備を進めております。さまざまな拠点による相乗効果を最大限に生かし、新たな事業の創出や地域活動の促進につなげてまいります。
営農再開については、令和7年度以降、営農再開面積を拡大していくため、農業水利施設の機能復旧を進めるとともに、担い手の省力化と効率化を図るための農業基盤整備事業等をさらに推進してまいります。
中田地区における養液栽培施設の整備については、先月、プロポーザルによる施設の貸付候補者を選定しました。令和7年度は、建物の実施設計や土地の造成に着手する予定であります。
そのほか、コメの出荷制限解除を見据えた試験栽培の継続など、引き続き、農業の再興に向けた取り組みを進めてまいります。
(3)医療・健康・福祉・介護について
健康管理体制の確保等については、昨年3月に「健康ふたば21計画(第二次)」を策定し、「町民一人一人が居住している地域で希望や生きがいをもって日々を過ごすための基盤となる健康を大切にできる」ことを基本目標に掲げ、具体的な推進項目とともに数値目標を定めて取り組んでいるところです。
総合健診の実施により、町民の皆さんの健康状況をきめ細かく把握し、健診結果説明会等による事後フォローアップを通じて、生活習慣病などの早期発見・早期治療はもとより、数値目標の達成に向けて尽力してまいります。
また、各種感染症に係る予防接種を継続するとともに、令和7年度から帯状疱疹ワクチンを追加して実施してまいります。
福祉・介護体制の構築については、双葉駅西地区に通所及び訪問介護サービスや地域包括支援センターによる相談、さらには誰もが気軽に集い必要なサービスを受けることができる複合的福祉サービス拠点の整備を進めているところです。令和9年度の開所を目指し、令和7年度は、施設の実施設計や建設工事に着手してまいります。
(4)教育・子育て・歴史・伝統・文化について
教育環境の整備・充実については、町内での学校再開に向け、令和7年度は学校校舎等の基本設計・実施設計や中学校旧校舎の解体、教育カリキュラムの策定などに着手してまいります。
また、国際社会や地域社会で活躍できる人材の育成や今後の双葉町を担う子どもたちの育成を図るため、双葉中学校の生徒を対象とした生徒海外派遣事業を引き続き実施してまいります。
さらには、町民の皆さんや町内就業者などを対象とした生きがいや趣味づくりを通して教養を高めることを目的とした生涯学習講座を新たに展開してまいります。
子育て環境の充実については、少子化に対処するための施策や子ども・若者の健やかな成長に資する社会環境の整備などの施策を盛り込んだ「双葉町こども計画」を令和6年度中に策定してまいります。
また、昨今の物価高騰による子育て世帯への負担軽減を図るため、国から交付を受けた地方創生臨時交付金を活用し、子ども手当受給世帯に対して給付金を支給するとともに、新たに移住された方を対象とした保育料の実質無償化など、子育て世帯への支援を拡充してまいります。
歴史・伝統・文化については、神楽や相馬流れ山踊りなどの民俗芸能を伝承・保存するための補助制度を継続するとともに、「国指定史跡 清戸迫横穴」の保存・整備のため保存活用計画を策定してまいります。
また、筑波大学の協力を得て文化財のレスキューを継続的に行うとともに、旧役場庁舎の隣接地に文化財等収蔵庫の建設を進め、全国各地で保管していただいている文化財の集約化を図ってまいります。
※「清戸迫横穴」の「迫」は環境依存文字のため置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
(5)きずな・結びつきについて
交流機会の確保については、町民の皆さんにふたばアプリの利活用を啓発するとともに、交流会等の開催による町民相互のコミュニティの形成を図ってまいります。
また、行政区が主体となって活動する除草作業に対して、報奨金を交付することで、町内環境の整備を進めるとともに、ふるさととの結びつきを創出してまいります。
さらには、令和7年度中に完成予定である福島県復興祈念公園内に東日本大震災により双葉町内で亡くなられた方を追悼するための慰霊碑を町が建立することで、中野地区における被災の伝承及び復興を祈念するエリアとしての機能を充実させてまいります。
交流・関係人口の創出については、双葉駅前のコミュニティセンターは、震災前の姿をとどめる数少ない施設であることから、町の歴史や記憶を感じていただくことができるように既存建物を生かしつつ、「駅東地区まちづくり基本構想」に合致した施設となるように改修を進めてまいります。
また、中野地区の復興祈念公園の隣接地に運動公園など屋外空間を生かしたアクティビティが楽しめる施設の整備を計画しており、交流人口の拡大に向けた動きを加速させ、町の復興に寄与するものと期待しております。
情報提供・広聴の充実化については、町内居住の開始に伴い、町公式ホームページにアクセスする目的が変化していることやスマートフォンからのアクセスが増加しているなど、環境の変化に対応するため、町公式ホームページのリニューアルを検討してまいります。
以上、現在までの復興に向けた取り組みと成果、令和7年度の町政に臨む私の所信の一端と基本方針を述べましたが、町政運営にあたりましては、引き続き、議会や町民の皆さんと意見を交わしながら、双葉町復興まちづくり計画で示された具体的な施策の実現に向けて、職員一同全力で取り組んでまいりますので、議員各位ならびに町民の皆さんの一層のご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
以上申し述べまして、令和7年度における施政の方針といたします。