くらし 町民の皆さまへ 町長施政方針(2)

■東京電力ホールディングス株式会社に対する要求について
本年1月に東京電力ホールディングス株式会社の小早川社長が来庁した際に「福島第一原子力発電所の廃炉、原子力損害賠償の完全実施及び復旧・復興への協力に関する要求書」を手渡すとともに、要求事項の実施について強く求めました。
また、廃炉作業については、トラブル等が発生しないように万全を期することはもとより、緊張感を保ち最後まで責任を持って貫徹し、東京電力が作業全体を管理・監督する意識を徹底するように、改めて管理体制の確認や強化を求めました。
原子力損害賠償については、中間指針や同追補等によらず、少なくとも特定復興再生拠点区域が解除された令和4年8月30日までに賠償期間を見直すことや被害実態に即した賠償を確実に行うよう、原子力発電所事故の原因者としての責任を全うすることを求めたほか、双葉町の復旧・復興に向けた取り組みについての協力を強く要求してまいります。

■復興・再生に向けた財源の確保や国の関係機関に対する要望活動について
昨年の12月に『「第2期復興・創生期間」以降の東日本大震災からの復興の基本方針の見直しに向けた課題等』が国の復興推進会議で決定され、第2期復興・創生期間以降5年間の事業規模が、今の5年間を十分に超えることが明示されました。
震災と原発事故という複合災害からの復興を進めるにあたり、中長期にわたる財源の確保が不可欠であります。さらに、物価高騰の影響により、資材調達や人員確保も難航しており、先行して避難指示が解除された自治体と比べ、インフラや施設の整備に係る費用が増大しています。今後も県や関係自治体と連携し、復興財源の確保について、国や関係機関に強く要望するとともに、高速道路の無料化措置と医療費等の減免措置につきましても、国に強く働きかけてまいります。

■中間貯蔵施設および除去土壌等の県外最終処分について
中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入については、今年で10年の節目を迎えました。
現在は、特定復興再生拠点区域及び特定帰還居住区域で発生した除去土壌等が搬入されており、平成27年3月の搬入開始からの累計搬入量は、本年1月末時点で約1406万立方メートルとなります。
私は、県外最終処分や再生利用への理解が現状では十分に広まっていないことに危機感を抱いており、環境省に対して、中間貯蔵施設の安全かつ確実な維持管理はもちろんのこと、2045年3月までの県外最終処分の実現と実現に向けた国民全体の理解を速やかに醸成するよう、引き続き強く求めてまいります。

■双葉町復興まちづくり計画について
復興まちづくり計画(第三次)は令和8年度が最終年度になることから、令和7年度は各種事業の実施状況を検証するとともに、次期復興まちづくり計画(第四次)の策定に向けた課題の検討に着手してまいります。
引き続き、現計画で掲げている基本施策の5つの分野を集中的に取り組むとともに、令和7年度を復興の具現化を進める1年として、重点的に進めていく施策について申し上げます。

■令和7年度に重点的に取り組む施策

(1)生活環境について
住宅の整備・支援については、良好な住宅地を形成するエリアの具現化を目指し、双葉駅西側に「住む拠点」として整備を進めてきた町営住宅全86戸が完成しました。帰還された町民の方や移住された方など約100名が入居されております。今後は、町営住宅の西側での造成工事等を進め、住宅の分譲地などとしての利活用を進めてまいります。
また、双葉町住宅再建支援事業として、町内における住宅の取得・修繕等に係る費用を県の上乗せ支援と併せて、新築住宅の取得で上限800万円、中古住宅の取得または修繕等で上限300万円を補助しております。併せて長期にわたって維持管理できていなかった住宅の清掃費や帰還に伴う移転費用の一部を補助する制度を継続することで、引き続き、町民の皆さんの帰還意識の醸成に努めてまいります。
昨年11月に歴史ある旧三宮堂田中医院診療所に、「移住定住相談センター」を開設しました。双葉町に移住を希望する方が町での暮らしをより具体的にイメージできるように、移住ニーズに応じた情報提供や移住後の生活相談などの定住支援を行います。町の暮らしを体験いただける「お試し住宅」との相乗効果により、双葉町への移住・定住をさらに促進してまいります。

生活関連施設の整備については、昨年3月におよそ13年ぶりとなる郵便局の営業が再開しました。役場庁舎北側に建設中の公設商業施設は、スーパーマーケットの入居が決定しており、令和7年夏頃の開業を目指して建物の本体工事等に着手しているところです。双葉町体育館・公民館跡地に建設予定の公設商業施設は、飲食店3店舗の出店が決定しており、先日、出店者との意見交換会を開催しました。今月中に安全祈願祭が行われ、令和7年度中の完成を目指して整備を進めてまいります。駅前におけるにぎわい創出はもとより、町内に居住する皆さんや働く方々のさらなる生活環境の向上に努めてまいります。

公共インフラの整備・復旧については、復興シンボル軸として町の各拠点を有機的に結びつける重要な役割を果たす県道井手長塚線のこ線橋が令和7年度中に完成する予定です。
そのほか、町道や橋梁等の点検・修繕等を継続的に実施することで、今後も適正なインフラ整備に努めるとともに、特定帰還居住区域の避難指示解除も見据えた下水道施設の復旧や維持・修繕なども進めてまいります。

防犯・防火・防災体制の強化については、令和5年から防災行政無線の運用を再開しており、屋外スピーカーによる周知のみならず、町内に居住されている方や事業者等に対して、戸別受信機の貸出を進めることで、災害時の緊急情報や防災情報をより確実に伝えることができるように努めてまいります。
また、町消防団第一分団及び第二分団に新しい消防ポンプ自動車を配備し、旧車両と比べ資機材を豊富に積載でき、消火栓に接続することなく迅速な消火活動を開始できるようになりました。
さらには、双葉町内一円の防犯・防災はもとより、帰還困難区域を含め不法侵入等の被害が生じているため、警察機関との連携や365日24時間体制でパトロールを継続することで、防犯体制を強化してまいります。