文化 町の昔話コーナー

■フクロウの話(後編)
皆が寝静まった夜中に大きな袋をかついでは、地蔵森の皆が昼の間にせっせと貯めた食料を盗んでは森のみんなを困らせていたフクロウ。ついにお地蔵様に呼びつけられ、お叱りを受け、反省したそぶりを見せましたが…。
ところが、やみぞう※1のフクロウは、「お地蔵様の言うことなんて聞いていられっか。」
と、お地蔵様の言うことを聞かないで、相変わらず、昼はごろごろして夜になっと人の家に餌を盗みに行くという生活を送っていたと。
そのことを知ったお地蔵様は、カンカンにごしゃいで※2、またフクロウを呼びつけたと。「フクロウ!あれほどきつく言って聞かせたのに、なんで盗みをやめねぇんだ。相変わらず昼はやみぞうして働かねぇで、夜になっつぅど盗みを働いているんというんでねぇが。おれも堪忍袋の緒が切れた。お前はどうせ昼間寝てばかりいるんだから、昼間の目はいらねぇべ。お前の昼間の目は取っ返すことにする。目を全部取っ返すと何も見えなくなって、それもちんとかわいそうだから、夜の目はそのままにしておくから。もしまた盗みをするようなら、その時は夜の目も取り上げっからな。覚悟しろよ。」
とお地蔵様に昼間の目を取り上げられてしまったと。
昼間、目が見えなくなったフクロウは、どんな敵に襲われっか知れねぇから、昼間は森の奥の穴に隠れていて、じっとしているしかねぇんだと。
じっとしていても腹が減るから、夜になっと巣穴から出てきて餌を探さなくてはなんねぐなったと。
また盗みを働いて夜の目まで取り上げられたら大変だがらな。自分で餌を探すしかないんだと。
フクロウは盗みをしなくなったので、大きな袋を持ち歩くことはなくなったども、今でも「フクロウ」という昔の名前で呼ばらっちぇいるんだと。

※1 やみぞう やみぞ。面倒くさがり。なまけもの。勤勉でないこと。
※2 ごしゃいだ ごしゃぐ。怒る。

新地語ってみっ会では、語り部による民話コーナーや紙芝居などを毎月第3土曜日13時30分から二羽渡神社南、おがわ観海堂(小野俊雄宅離れ)にて参加費無料で公開しています。
興味のある方はぜひご参加ください。
※8月はお休みになります。

問い合わせ:新地語ってみっ会
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