くらし [特集]森林の恵み(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県常陸大宮市
- 広報紙名 : 広報常陸大宮 2025年4月号
◆常陸大宮市の約6割を占める森林
八溝山系の南端に位置し、一級河川である久慈川、那珂川が流れる、自然豊かな常陸大宮市。そんな市の自然を語る上で、欠かせないのが森林です。この土地で生まれ育った人々にとって、木々にあふれる市内の景色は見慣れたものかもしれません。しかし、茨城県全体では面積の約3割が森林であるのに対し、常陸大宮市は面積の約6割を占めています。豊かな森林面積が市の特色であり、森林という貴重な資源を有する場所であるといえます。
◆文化財修復にも使われる市産の木材
市の森林から生み出される木材の品質は、市外でも高い評価を受けています。美和の一部地域の森林は、文化財を修繕するための木材などの生産地「ふるさと文化財の森」に指定されています。緻密(ちみつ)な職人技で建設されている文化財を修繕するためには、高品質な木材が欠かせません。全国に92か所※しかない「ふるさと文化財の森」の一つとして指定されることは、高品質な木材であることの証明にほかなりません。
※令和6年3月19日時点
◆漆、シイタケ、山菜… 食や文化を支える森林からの恵
私たちが森林から受ける恵みは、木材としてだけではありません。漆やキノコ、山菜などは「特用林産物」と言い、私たちの食や文化を支えています。
常陸大宮市の漆は、透明度が高く、山方地域家和楽地区の漆林も「ふるさと文化財の森」に設定されるなど漆芸業界で高く評価されています。
シイタケや山菜などおいしい森の恵みは、市内の道の駅・物産センターで販売され、市外の人々にも愛されています。特にシイタケは、緒川地域、美和地域を中心に生産されており、「原木生椎茸」の名前で市認証特産品にもなっています。
◆間伐材はコストパフォーマンスの高い薪としてキャンパーに人気
森林整備では特定の木に栄養を与えるため木を間引く「間伐」を行います。その際に出た間伐材の一部を、やすらぎの里公園では、手割りし、薪として販売しています。
他にも、市内の温泉・温浴施設の木質バイオマスチップボイラーの燃料として間伐材を使う取組を行っています。
◆私たちの生活を守る森林の役割
森林は、木材や燃料としての利用だけでなく、土地や川など、人々の住む場所を守るため、自然のサイクルを維持するために、さまざまな役割を持っています。
例えば、木の根は土砂や岩石などを固定して土砂崩れを防ぐとともに、下草や落葉・枝などは、雨水などにより表土が流れ出るのを抑えています。
他にも、雨水が落ち葉を通して土中にゆっくり浸透することで、川への急激な流出を防ぐとともに、水を浄化しています。森林が浄化した雨水は、山の地下水となり、久慈川・那珂川の支流へとつながっていきます。
森林がないと、土砂崩れの危険性が高まるだけでなく、川に大量の水とともに土砂が流れこんでしまいます。その影響は、海岸近くの海水が泥でにごり、海底が泥で埋まってしまうことで、海産物の成長にも悪影響を及ぼします。
◆森林に関する市の取組
◇通学路・通勤路などの「木」に関する困りごと解消を支援
市では、通学路・通勤路などにある木々(平地林・里山林)が生活や景観に影響がある場合に整備する「森林環境整備推進事業」を行っています。対象となるのは、原則500平方メートル以上の市内の民有林で、整備後、森林所有者が適正な維持管理を行うことができることなどが条件になります。
問い合わせ:農林振興課農林整備G
【電話️】52-1111(内線204)
◇森林整備を行う団体に竹材粉砕機や運搬用ドローンを貸出
森林整備を行う法人やボランティア団体、行政区を対象に、竹材粉砕機や林業用運搬ドローンの貸出を無料で行っています。
問い合わせ:農林振興課農林整備G
【電話️】52-1111(内線204)
◇市産木材で住宅を建てる方への助成
常陸大宮市産材を5立方メートル以上使用し、市内の建設業者が施工した住宅を新築する方に対して、市産材1立方メートル当たり4万円、上限60万円までの助成を行っています。
問い合わせ:農林振興課農林整備G
【電話️】52-1111(内線204)
◇新常陸大宮駅舎などに市産木材を使用
令和7年2月1日から供用を開始した常陸大宮駅の新駅舎。ホームの屋根に、市内産の木材を使用し、木の温もりを感じる駅舎へと生まれ変わりました。