- 発行日 :
- 自治体名 : 茨城県行方市
- 広報紙名 : 市報なめがた No.242(令和7年10月号)
■旧私立北浦三育中学校見学
8月17日(日)10時、貸し切りバスから降りて、旧私立北浦三育中学校の玄関に足を踏み入れた。鹿行生涯学習センターによる、観光マイスターを目指す企画の参加者として。
校内には、市内がロケ地となった映画やテレビドラマ――「ババンババンバンバンパイア」「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」「アンメット」「季節のない街」などなど――の撮影時の台本やポスターなどがずらりと展示され、撮影に使用された体育館には、今後公開される作品の撮影用備品や美術品などが置かれていた。
これらをぐるり見学して頭に浮かんだのは、撮影に関わる大勢の関係者の方たちが、一定期間、ここに集って、それぞれにせっせとあるいは黙々と動き、つとめている様子だ。そして、彼らの頑張りを支えているのは、素晴らしい作品が無事完成すること、そしてヒットすることへの祈りのような気持ちなのではないかな、とも思った。
それはたぶん前夜に、この中学校の生徒の日課を紹介する動画をYouTubeで見て受けた強い印象の影響を受けているのだ。生徒たちは、6時起床で15分後には礼拝室に入り祈り、授業、食事、清掃、部活動などの時間を経た後、1日の終わりにはまた祈っていた。閉校までの51年間、ここは祈りの場だった。
見学を終えてバスに乗り込み、この地を後にする私たちを、行方市の担当者の皆さんが、流れる汗を拭いながら手を振って見送ってくれた。彼らもまた、この見学のための準備や運営を頑張る支えとなったのは、市民の安全や市の繁栄への祈りだったのではないかしら。
この地は変わらずに祈りの場になっていたのだった。
※北浦三育中学校…1969年に行方市成田に設立された、全寮制でキリスト教主義の私立中学校。2020年に閉校し、現在は撮影場所として多数の映画やテレビ番組に使われている。同校は、千葉県大多喜町に三育学院中等教育学校として移転・開校した。(参照:学校法人三育学院北浦三育中学校.北浦三育中学校50周年記念誌1969–2019、2020)
■小林光恵さん
行方市出身。つくば市二の宮在住。年々、秋の期間が短くなっている気がします。少しでも長く秋がいてくれますように、と祈るばかりです。
市公式ホームページ内で「行方帰省メシ」連載中。
