- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県栃木市
- 広報紙名 : 広報とちぎ No.183 令和7年7月号
33平方キロメートル、東京ドーム700個分もの広大な面積を有する渡良瀬遊水地には、「自然の博物館」と呼ばれるほどの豊かな生態系が形成されています。
その貴重な湿地環境が世界的に認められ、平成24年7月3日、渡良瀬遊水地はラムサール条約(※)湿地に登録されました。
※ラムサール条約…正式名称「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。生物多様性保全に関する地球規模の条約としてもっとも早期に採択されたものです。
■渡良瀬遊水地の役割
○治水
渡良瀬遊水地は上流で降った雨や洪水を一時的に貯め込むことで、下流に流れる水の量を調節しています。
令和元年東日本台風(台風第19号)では、約1億6,000万立方メートルもの水を貯め、過去最高貯水量を記録しました(貯水率95%)。周辺地域のみならず、首都圏における災害軽減の役割を果たしました。
○利水
ハート型の湖「渡良瀬貯水池(通称:谷中湖)」は、平地型ダムならではの利点を活かし、首都圏に生活用水を供給しています。
(1)集水面積が大きい
流れ込む川を通して、上流部に降った雨も集めることができる。
(2)供給地まで近い
山間のダムから供給地である首都圏まで水を届けるのに2日かかるところ、約5時間で届けることができる。
■渡良瀬遊水地の生物多様性
渡良瀬遊水地では絶滅危惧種を含む多くの動植物が暮らしています。
(1)野鳥…271種4亜種(絶滅危惧種58種)
(2)魚…約80種(絶滅危惧種22種)
(3)植物…約1,000種(絶滅危惧種65種)
(4)昆虫…約1,700種(絶滅危惧種71種)
■渡良瀬遊水地とラムサール条約
湿地は、多様な動植物が生育・生息するのに欠かせない場所です。
また、農業・漁業・観光・水の共有・防災など、人々の生活に恵みをもたらしてくれる場所でもあります。
渡良瀬遊水地では、ラムサール条約3つの柱である「保全・再生」「賢明な利用」「交流・学習」の考え方に基づき、様々な取り組みが行われています。
○保全・再生
水鳥の生息地としてだけでなく、私たちの生活を支える重要な生態系として、幅広く湿地の保全・再生を呼びかけています。
○賢明な利用
地域の人々の生業や生活とのバランスのとれた保全を進めるため、湿地の生態系を維持しつつそこから得られる恵みを持続的に活用することです。
○交流・学習
湿地の保全や賢明な利用のために、交流、能力養成、教育、参加、普及啓発を進めることを大切にしています。
渡良瀬遊水地には校外学習などで子どもたちが多く訪れ、学びの場としても活用されています。
遊水地の魅力を肌で感じながら取り組みに参加し、貴重な湿地環境を後世に引き継いでいきたいですね。
■渡良瀬遊水地イベント情報
○わたらせ熱気球day
熱気球の係留飛行体験です。
日時:
(1)7月20日(日)
(2)9月21日(日)
いずれも6時~9時
※8月は熱中症の恐れがあるため不開催
場所:藤岡渡良瀬運動公園
定員:各回200人程度(先着順)
申込:事前予約制
○熱気球グランドクルー体験会
熱気球グランドクルー体験会を実施。
日時:わたらせ熱気球dayと同日。いずれも5時30分~9時30分頃
場所:藤岡渡良瀬運動公園
申込:事前予約制
○夏のわくわく大作戦!親子水辺教室
植物観察とカヌー体験を行います。
日時:7月26日(土)9時30分~12時
集合場所:谷中湖レンタサイクルセンター前
対象:小学生とその保護者
定員:32人(先着順)
申込:7月1日(火)8時30分~7月18日(金)17時まで
問合せ:渡良瀬遊水地課
【電話】62-1301