- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県大田原市
- 広報紙名 : 広報おおたわら 令和7年4月号(No.1333)
■太政官(だじょうかん)辞令(黒羽藩知事)
今回は、太政官辞令(黒羽藩知事)を紹介します。大田原市指定有形文化財となっている本資料の寸法は、縦52.2cm、横65.0cmで、現在の封筒に当たる封紙(ふうし)も現存しています。封紙の下部には「大関美作守(おおぜきみまさかのかみ)」という宛名が墨書されており、大関美作守とは黒羽藩16代藩主大関増勤(ますとし)のことです。封紙上部には、「増勤公黒羽藩知事御辞令書」と墨書された貼紙があります。
本資料は、明治新政府の太政官(政府の最高機関)から明治2年(1869)6月付で大関増勤宛てに発給されたもので、彼を黒羽藩知事に任命する辞令となっています。明治新政下、黒羽藩が中央集権体制の下に組み込まれたことを示すもので、明治2年の版籍奉還(はんせきほうかん)に伴って旧藩主が就任するところとなったのが、同4年の廃藩置県(はいはんちけん)まで続く「知藩事(ちはんじ)」という役職でした。知藩事を具体的な藩名と共に称する場合は、「黒羽藩知事」のように称しました。
この段階での藩は、江戸時代の藩とは異なり、府や県と同じように、中央政府の統制下に組み込まれたものとなっていたのです。なお、2年後の廃藩置県により、増勤は黒羽藩知事を解職となり、黒羽藩は終焉を迎えることとなります。
本資料は、当館大関記念室において展示中です。
問合せ:黒羽芭蕉の館
【電話】0287-54-4151