- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県野木町
- 広報紙名 : 広報のぎ 2025年5月号
■新緑のころ~雑感~
若林地区 広報連絡委員 田村 悟
今から20数年前、野木町に縁あって移住した。初めての春を迎えたころ周辺の平地林を散策するとみずみずしい新緑に、心の中で「野木軽井沢」と命名し一人悦にいったのを思い出す。
新緑は芽吹きの黄緑から、日差しを透かす緑、そして深緑へと変化。時を同じく山桜の淡いピンク、ミズキ、エゴノキ、ガマミズ、ヤブデマリ、ニセアカシアが白を競う。花房が垂れさがるクヌギ、コナラの黄色がアクセントを添え私たちの目を楽しませる。
航空写真をたどると、一見、当たり前に感じる自然の恵は、利根川を境に埼玉側には林と呼べるものはほぼ見当たらず、川を渡って古河市に入ると林の存在が確認できる。宇都宮沿線から近郊に平地林が広がっている自治体は野木町が最南端で貴重なものではと思う。
しかしながら農林業センサス(農林業の国勢調査)によると2000年に262haあった平地林も2020年には210haと約2割減少している。その後2023年(令和5年)7月10日に発生したダウンバーストにより、若林区を含む各所で平地林や工場緑地帯の樹木が折損し、その後やむなく伐採・抜根され貴重な緑の減少を実感する。
「野木町緑の基本計画」では将来像として~百年の樹千年の森づくり~の実現のため平地林の保全が掲げられている。平地林は木陰が涼を生み、強風を遮る。また、保水やカーボンニュートラルを目指すCO2吸収源として日常生活に目に見えない恩恵を与えてくれる。
野木の平地林は99%が私有林で個々の地主により維持されている。調べてみると林業に関する直接的な助成施策は少なく感じる。今後も町の平地林が維持継承されるためには所有者への負担が少しでも軽減される施策が出来ればと願う。
そして、この時期皆さんも自分好みの野木軽井沢を探しに町内を散策されることをお勧めしたい。