- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県東松山市
- 広報紙名 : 広報ひがしまつやま 2025年10月号No.1152
■「スマホ首」知ってますか?〜現代人の姿勢が招く体の不調〜
整形外科医師 井上雄太(いのいうえゆうだい)
スマートフォンやパソコンを長時間使う現代人の間で「スマホ首(ストレートネック)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。これは本来ゆるやかにカーブしているはずの首の骨(頸椎)が、まっすぐに近い状態になることで、首や肩に負担がかかる状態を指します。
私たちの頭の重さは、成人で約4〜6kgといわれています。正しい姿勢では首の骨がその重さをうまく支えていますが、スマートフォンをのぞき込むような前傾姿勢では、首にかかる負荷が2〜3倍にもなります。その結果、首・肩こり、頭痛、背中の張り、さらには手のしびれや自律神経の乱れといった症状につながることがあります。
特に注意が必要なのは、スマートフォンを長時間使用する若い世代です。画面に夢中になるうちに、いつの間にか前傾姿勢がクセになってしまい、気づいた時には慢性的な不調を抱えていることも少なくありません。
「スマホ首」を予防・改善するには、まず「姿勢を意識する」ことが何より重要です。スマートフォンを目線の高さに持ち上げて使う、椅子に深く腰かけて背筋を伸ばすといった工夫をしましょう。また、1時間に1回は画面から目を離し、首や肩を軽く回すストレッチを取り入れるのも効果的です。
加えて、枕の高さや硬さも見直してみましょう。首に負担がかからない、自然なカーブを保てる寝具を選ぶことで、睡眠中の回復を助けます。
スマートフォンやパソコンは、私たちの生活に欠かせない便利なツールですが、体にとっては大きな負担にもなり得ます。少しの意識と習慣で「スマホ首」からくる不調を予防し、毎日を快適に過ごしましょう。