くらし 【特集】男女共同参画社会とアンコンシャス(無意識の)・バイアス(思い込み)(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県鴻巣市
- 広報紙名 : 広報こうのす「かがやき」 令和7年6月号
男女共同参画社会とは、男女がお互いを尊重し、喜びや責任を分かち合い、自分らしく個性と能力が発揮できる社会です。しかしながら、日本では男女共同参画社会の実現には至っていない状況がうかがえます(左図)。その理由の一つに、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が存在していることが挙げられます。
今月の特集では、アンコンシャス・バイアスについて知り、誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて、私たちにできることを考えてみましょう。
●ジェンダー・ギャップ指数※(GGI)2024年
※世界各国のジェンダー平等の達成度を指数にしたもの。「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示す。
出典:男女共同参画局(男女共同参画に関する国際的な指数)
●男女の地位の平等感(家庭生活)
●男女の地位の平等感(職場)
出典:内閣府世論調査「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年9月調査)」をもとに加工して作成
◇誰もが持つ無意識の思い込み
アンコンシャス・バイアスは、「無意識の思い込み」・「無意識の偏見」などと表現され、私たちの生活や社会にさまざまな影響を及ぼします。
突然ですが、次のクイズの答えを考えてみてください。
少年とその父親が交通事故に遭い、2人とも大けがをし、救急車で別々の病院に運ばれました。少年を担当した外科医は、少年の顔を見るやいなや「自分の息子の手術はできない」と言いました。
さて、この外科医と少年の関係は。
この文章を読んだとき、とっさに「父親は別の病院に運ばれたのでは」と思いませんでしたか。
答えはいくつか考えられますが、最もシンプルなものは「外科医は少年の母親」です。外科医は男性という思い込みがあると思いつきにくいかもしれません。
このように、私たちは無意識のうちに、過去の経験や周りの状況から、思い込みで物事を判断してしまうことがあります。
◇アンコンシャス・バイアスの問題点
アンコンシャス・バイアスは、過去の経験や日常的に接する情報、学校や職場などの環境から脳に刻み込まれ、既成概念や固定観念として形成されます。これは、効率的に物事を捉えようとする脳の働きによるものです。このため、アンコンシャス・バイアスは誰もが持っているもので、持つこと自体は決して悪いことではありません。
しかし、自分が持っているアンコンシャス・バイアスを認識していないと「男性は普通こうするだろう」「女性はこうした方がいいだろう」などと、勝手な思い込みを相手に押し付けてしまい、相手を傷つけたり、相手に誤った評価をしてしまったりすることがあります。
◇社会に与える影響
アンコンシャス・バイアスは、他人に対してのみ影響するものではありません。自分に対しても「男性だから」「女性だから」などと思い込んでしまうことで、挑戦する機会を逃したり、自分の可能性を狭めたり、成長の機会を逃すなど、ネガティブな影響を与えることがあるので注意が必要です。社会や組織から見ると、多様な人材が活躍する機会を逃すだけでなく、人権侵害やハラスメント、コンプライアンス違反といった問題につながっていく可能性があります。
教育現場では「男性は理系、女性は文系」といった考えが、子どもの進路選択を狭め、その結果、本人の可能性を制限し、社会全体の発展に影響を与える恐れがあります。
◇「なくす」ではなく「気づく」
アンコンシャス・バイアスは、長年にわたって形成された考え方や習慣のため、なくすことは難しいです。大切なことは、自分の考えが思い込みではないかと疑い、気づくことです。
自分の認識・考えだけが正しいと思い込まず、自分と異なる価値観をもとに行動している人がいるということを前提にコミュニケーションをとることで、一人ひとりが異なる存在として、互いの個性を尊重し合うことができます。
性別に関わらず、誰もが自分らしく生きやすい社会を実現するためにはさまざまな考え方・生き方を受け入れることが重要です。
思い込みにとらわれず、それぞれが自分らしい道を歩めるよう、まずは気づくことから始めてみませんか。
問合せ:やさしさ支援課
【電話】(内線3421)