くらし 〔特集〕狭山茶に携わる人々(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県入間市
- 広報紙名 : 広報いるま 令和7年5月1日号
これから新茶シーズンを迎える狭山茶。
狭山茶に携わるいろいろな人の声を伺いました。
狭山茶の誕生の地であり、主産地である入間市。狭山茶は江戸時代後期、狭山丘陵の北麓(現入間市宮寺・東京都瑞穂町)で蒸し製煎茶の製造がはじまり、多くの方の努力で、茶畑の風景や狭山茶のある暮らしがつながれてきました。
この特集では狭山茶を「つくる」人、「広める」人、「楽しむ」人に焦点を当てて、ご紹介します。
■狭山茶とは?
狭山茶は「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」とうたわれているとおり、甘く濃厚な味が特徴です。
お茶の販売は生産者と販売者が分かれているのが一般的ですが、市内の茶農家の多くが、自家の茶園で栽培した茶葉を自家の工場で製造加工し、自家の店舗で販売する「自園・自製・自販」です。
それぞれの茶園が個性豊かなお茶を作っています。
■美味しいお茶を作る技術を高めるために、品評会に出品しています
入間茶研究会では、お茶の生産技術の向上を目的に各品評会に出品しています。
茶業者同士でお互いに教え合いながらお茶を製造し、よりおいしいお茶を作るために技術を高めています。
■狭山茶を「つくる」人に聞いてみました
▼田代園
入間茶研究会 会長 田代 裕也さん
田代園では、味わいが深く、コクがある深蒸し煎茶を作っています。飲みごたえがありながら、スッキリと飲めるお茶を目指し、深蒸しを追求しています。また、入間茶研究会長として、会員と技術を高め合い、品評会へ出品し、さらに美味しいお茶を作ることを目的に取り組んでいます。
○深蒸しを追求した深蒸し煎茶
緑茶は摘んだお茶の葉を蒸し、揉んで、乾かすことにより完成します。深蒸し煎茶は通常よりも長く蒸すことが特徴です。長く蒸すことにより、甘みがあり、渋みが少ないお茶になります。田代園では深蒸しを追求することにより、味わい深く、コクがあり、スッキリと飲めるお茶を作っています。
○気持ちを込めてお茶作りをしています
狭山茶は主に、茶の栽培から加工、販売までを一貫して行う〔自園・自製・自販〕の経営スタイルが多く、お茶屋の数だけ味に違いがあります。
田代園では、畑の管理やお茶の摘み取りなど一つひとつの作業に気持ちを込めて大事に行い、お客様に安全・安心に飲んでもらえるお茶を作っています。
▼清水園製茶工場
清水 知弥 さん、清水 裕美子 さん
清水園では、煎茶や和紅茶、ウーロン茶などを製造していますが、ここ最近は特に和紅茶の製造に力を入れて取り組んでいます。埼玉県産の品種にこだわり、私たちにしか作れない紅茶作りを続けていきます。
○国産紅茶の「和紅茶」とは
和紅茶とは国産の茶葉で作った紅茶のことで、比較的渋みが少なくまろやかな味わいが多いのが特徴です。緑茶は製造工程で茶葉を蒸すことにより発酵を止めますが、紅茶は茶葉を発酵させて作ります。発酵させる前の工程の萎凋(茶葉をしおれさせること)により、華やかな香りがします。清水園では和紅茶に合わせた茶園管理を行い、お茶本来の味を引き出しています。
○埼玉県産の品種にこだわり作る和紅茶
清水園では埼玉県の土地・気候に合うお茶の樹として開発された埼玉県産の品種にこだわり、和紅茶を作っています。埼玉県産の品種の「ゆめわかば」を使った和紅茶は、ミルキー感のある香りとまろやかな甘みが特徴です。
12年前から始めた和紅茶作りですが、最初は思ったような味を引き出すことができませんでした。日本全国や海外に行き、紅茶作りを勉強することで、品質を高めていきました。
毎年、試行錯誤を行い、技術を高めてきたことにより、昨年に開催されたプレミアムティコンテスト2024で最高賞五つ星、イギリスで開催されたリーフィーズで優秀賞を獲得することができました。
○清水園らしさを追求
自園・自製・自販の生産者により、お店ごとに味が異なる狭山茶。
清水園は埼玉県の品種と茶園管理にこだわって美味しいお茶を作り、埼玉県の魅力を全国に発信していけるような茶園になれるように取り組んでいきます。
▼野村園
野村 翔一 さん
野村園では、特別栽培農産物の認定を受けており、安全・安心なお茶をお客様に提供しています。
また、お茶に親しみ、日常的に飲んでいただけることを目指し、お茶のプチギフトやオリジナルデザインのラベルで商品を販売しています。
○美味しくて安全・安心なお茶を作っています
野村園は、美味しく、安全・安心なお茶を製造するため、化学合成農薬および化学肥料の窒素成分を削減して作っており、埼玉県が認証する特別栽培農産物※に認定されています。
※特別栽培農産物とは…化学合成農薬および化学肥料の窒素成分を慣行レベルの5割以上削減して生産した農産物のこと。
○お茶をより気軽に、日常的に飲んでもらいたい
野村園ではお茶をより日常的に飲んでもらいたい、お茶を飲むきっかけになってほしいとの思いから、緑茶・紅茶・焙じ茶3種類のオリジナルギフトをリーフ・ティーバッグでご用意しています。ご希望に合わせたオーダーでご注文いただくことができ、パッケージシールにお好きなメッセージやお名前を入れることができます。ぜひ、大切な方への贈り物やご挨拶ギフトにご活用いただけますと幸いです。
○お茶の魅力を伝えたい
野村園ではひとりでも多くの方に狭山茶の魅力を知っていただけるように、茶園見学・茶摘み体験(繁忙期のぞく)、出張講座などの活動を行っています。
今後も、お茶の魅力を伝える活動に取り組み、狭山茶を盛り上げていきたいと思います。