- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県志木市
- 広報紙名 : 広報しき 令和7年4月号
■第55回 田子山富士塚シリーズ(1)「田子山富士塚が国の指定文化財になったのはナゼ?」
志木市本町2丁目の敷島神社境内にある田子山富士塚は、令和2年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。
江戸時代には、現在のような交通機関がなく、富士山に行くことが大変だったため、誰でも登れるようにと地元に造った「富士山のミニチュア」が富士塚です。江戸時代の後期から大正時代にかけて造られました。
世の中に富士塚は数百以上ありますが、国指定の富士塚は5基のみで、そのうちの一つが田子山富士塚です。
田子山富士塚は大型で優美な姿をしており、築造当時の姿をよく残し、富士塚の要件である
(1)頂上に祠(ほこら)があること
(2)烏帽子(えぼし)岩があること
(3)小御岳(こみたけ)神社があること
(4)黒ボク(富士山の溶岩)があること
(5)御胎内(おたいない)(洞穴)があること
(6)霊峰富士を遥拝(ようはい)できること
これらすべてを満たしており、富士塚の典型例として貴重であると高く評価され、国の重要有形民俗文化財に指定されました。すべての要件を満たしている富士塚は、田子山富士塚だけです。中でも霊峰富士を遥拝できること、奥行き16mもある御胎内があることは、ほとんど例がなく大変貴重です。
田子山富士塚が自分の利益のためではなく、地域の人たちの平安と地域の繁栄を祈って造られ、150年以上も守られてきたことは地域の誇りです。まだ登ってない方はぜひ登って、清々(すがすが)しい気持ちを味わってみてください。