文化 文化財めぐり vol.04

■柊塚(ひいらぎづか)
◆池に囲まれた古代の息吹を感じる墳墓
入西公園の池の中には、大きな塚があります。この塚は、厄除けのために柊が植えられていたことから、「柊塚」と呼ばれるようになったと言い伝えられています。
柊塚の周辺は広面(ひろづら)遺跡に指定されていて、昭和63年(1988年)に行われた発掘調査では、古墳時代(約1600年前)の巨大な墳墓(ふんぼ)だということがわかりました。また、墳丘(ふんきゅう)の周囲に溝が掘られているのがわかり、その溝は現在の池とほぼ同じ大きさだったようです。

◇最大規模の墳墓で埋没を免れる
発掘調査では、多数の墳墓が発見されましたが、中でも柊塚は最大規模であったことがわかっています。この多数の墳墓は、平安時代(約1100年前)に越辺川の氾濫で地中に埋まり、後の人々に墓域(ぼいき)として認識されなくなったと考えられています。しかし、他の墳墓よりも大きな柊塚は埋没を免れ、水塚として信仰されました。

◇入西のシンボル
柊塚は、平成初頭に行われたにっさい花みず木の開発を経てもなお、地域のシンボルとして1600年もの長きにわたりその姿が保持されています。
その昔、柊塚に住んでいたと言われる行者天斎(てんさい)は、今年度の坂戸市埋蔵文化財出土品展(本紙P.10)で紹介する長岡地区の「阿弥陀堰(あみだせき)」と深い関わりを持っています。一見、別々に思える文化財もどこかでつながることがあります。
この夏は、古代の人々に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

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