- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県毛呂山町
- 広報紙名 : 広報もろやま 令和7年3月号 No.1014
毛呂山町出身(毛呂山中学校卒)
中央大学理工学部 中村太郎 教授
様々な企業から未来に有用な技術として開発相談が多く寄せられ、期待が高まっている研究がある。ミミズの蠕動(ぜんどう)運動をヒントに世界も驚くロボットを開発しているのは毛呂山町出身の中央大学中村太郎教授である。その研究内容は、多くのメディアで取り上げられ、実用化に向けた研究は世界が注目している。
世界はAIの技術により今後大きな発展を期待されているが、ソフト面ばかりが発達して、肝心のハード面が追いついていないと話す中村教授。人類に代わってロボットが人間と同じ働きをする時代が来るためには、人体に近い柔らかい素材が必要なのである。軽量で柔らかい生物的な素材は、機械技術の世界ではあまり見られない。生物の複雑な動きを取り入れた人工筋肉の技術が未来の産業に求められているのである。
ミミズには骨がなく、動きは伸び縮みしながら進むもので、蛇のように骨があってS字を描いて進むものとは違う。中村教授は田んぼや畑に生息しているミミズをみて、ふと、動きの機能に興味を抱き、長い時間をかけて進化し、環境に適応する機能を獲得した生物を研究することで人類に有用な新たなロボットがつくれるのではないかと考えたという。
このミミズの動きをヒントに作られたロボットは、硬いロボットでは入り込めない複雑な形状をする配管の清掃はもちろん、ドリルを装着して掘削することもできる。ただ単に生物や生体の機能をまねたロボットを開発するのではなく、社会に役立つものづくり、実用化して収益化できるものづくりを念頭に大きなやりがいを感じている。JAXAとの共同による宇宙開発や深海での資源探査など、実用化が進んでいる。これまでの研究成果を基にベンチャー企業を立ち上げ、すでに事業化されたものも多い。これらの研究によって、様々な分野での応用が期待されている。
毛呂山町合併70周年記念式典では、記念講演として研究成果を力説する姿は多くの来場者を魅了。「わくわく感」が未来を創造する原動力になると語る。一つ一つ、研究内容を説明する姿は情熱にあふれ、世界が注目する一人となる予感がする。