くらし 特集 都心から一番近い里山

本紙写真は、新しい村の「ほっつけ田」で行われた稲刈り体験に参加したみなさん。都心から多くの方が体験に訪れる新しい村。どんな魅力を感じているのでしょうか。

都心から約1時間で来ることができる「新しい村」。駅から歩いて15分のところに里山が広がります。そこには、パッチワークのように違う形、大きさの水田が並びます。これが「ほっつけ田(ほっつけ)」です。この「ほっつけ田」は、県内外の親子に人気の農体験ができる観光スポットです。
さて、体験に来たみなさんはどんなところに魅力を感じているのでしょうか。

■新しい村のほっつけ田
まるで「棚田」のような風景が続く一帯。ここは新しい村の「ほっつけ田」です。昭和40年代までは町内のあちこちに点在していた「ほっつけ田」ですが、現在ではここだけとなってしまいました。この「ほっつけ田」は、約20年前、町が新しい村の整備をした時に復元したものです。現在では稲作体験の人気スポットとなっており、主に都心からたくさんの親子がやってきます。
「ほっつけ田」は狭く曲がった形をしています。よく見かける四角の水田とはちょっと違います。両脇を掘り下げて水路を作り、掘り上げた土の上に稲苗を植えます。「掘上田」や「ほっつけ田(ほっつけ)」と言われるようになりました。
今年は、町内では笠原小学校やNPO法人宮代水と緑のネットワーク、町外からは東京都や千葉県の企業や保育園、幼稚園の9団体が稲作体験に訪れました。また、個人で参加できる稲刈りイベントには、2日間で76名の親子が参加し、そのうちのほとんどが都内からの参加でした。近年では、稲作体験イベントはすぐにキャンセル待ちになるくらい大人気です。

■新しい村では、1年を通して様々な農体験ができます。
5月・6月:田植え
6月:ラベンダー摘み取り
6月・7月:じゃがいも掘り
7月・8月:ブルーベリー摘み取り
10月:稲刈り
11月:さつまいも掘り

・「新しい村」は地産地消や農のある風景の保全などを目的に、町が平成13年に開設しました。「ほっつけ田」は、沼地を水田として利用できるようにしたのが始まりです。その歴史は、江戸時代の新田開発にまでさかのぼります。
・体験に来た子どもたちは、虫取り網と虫かごを持って、虫とりに夢中になります。
・稲を触るのも刈り取るのも初めての体験。穂先の一粒一粒がお米になるということを知ることができます。まさにここだけの体験です。
・刈り集めた稲は5、6束ごとに紐で縛り、稲架掛け(はざかけ)します。二週間ほど稲を天日干しするとお米に甘味が出ます。

■農体験にうってつけの場所
渋谷区から来た真鍋さん一家は、情報サイトで関東圏内で農体験ができるところを探し、「新しい村」を見つけました。今年の5月に開催された田植えにも参加し、自分たちが植えた稲を刈りたい、と稲刈りのイベント情報が公開されるのをずっと心待ちにしていました。
実際に見たり触れたりすることで得られる経験をお子さんにしてほしいと、農業や漁業体験、キャンプなどによく出かけるそうです。「泥まみれで虫を追いかけるのがすごく楽しかったです。子どもに戻ったように夢中になって稲刈りをやっていました」とお父さんは笑います。「今までの体験の中で一番楽しかった。来年もまた来たい」と語ってくれました。

・「自宅から2時間でこんな自然豊かな環境に来れるのはいいですね。」と渋谷区から来た真鍋さんは言います。自宅の近くには虫はほとんどいないそうです。

■参加は今年で5年目
港区から来た小野さん一家が新しい村の稲作体験に参加するのは、今年で5年目になります。お母さんは、「量を食べない子でしたが、ここのご飯はおいしい!とたくさん食べて本当に驚きました。ここには不思議な力があるんですよ」と目を輝かせます。
「宮代町は、草木や稲、空など、自然の色がきれいな町だと思います。駅から新しい村までの間には気になるお店や建物もあって、私にとっては、宝物をぎゅっと詰めたような大好きな町なんです」と語ります。「住んでいる方にとっては、あたりまえなのかもしれませんが、ここにはたくさんの魅力がある」と感じているそうです。
最初に宮代町に訪れたきっかけは、アクセスの良さでしたが、「今ではいつか住んでみたい町になっています」と宮代町への思いを語ってくれました。

・「ここで収穫したお芋のツヤツヤ感が今でも忘れられません。」と語る、港区から来た小野さん。稲作体験だけでなく、絵本の読み聞かせや、芋掘り体験にも参加したそうです。

新しい村というと、直売所をイメージする方が多いと思いますが、それだけではなく、その奥にはとても素敵な里山が広がっています。特に「ほっつけ田」は、県内外の親子連れに人気の場所です。農体験に訪れた皆さんの嬉しそうな表情を見ていると、あたりまえだと思っていたものが、実はかけがえのないものなのだと気づかされました。

今月の新しい村のイベント情報は本紙14pをチェック!
あわせて新しい村のホームページもご覧ください。