子育て 地域と連携 新しい部活動のかたち -部活動の地域移行-(1)

部活動は、スポーツや芸術・文化などの幅広い活動に触れることができるとともに、異なる学年や集団の中で多様な学びを得られる大切な機会です。しかし、少子化の影響や教員の働き方改革を背景に、これまでの運営方法による部活動の存続が全国的に難しくなってきています。
今回は、こうした状況を踏まえ、佐倉市が進めている「部活動の地域移行」に向けた取り組みや事例などについて紹介します。

■部活動の地域移行ってどんなこと?
部活動の地域移行とは、これまで学校主体で行ってきた公立中学校の部活動のうち、休日の活動を学校から切り離し、地域のクラブや団体に運営を移行することです。佐倉市では、この移行後の活動を「地域移行クラブ」と呼んでいます。
現在、市内中学校の生徒数は減少しており、令和6年(2024年)は3926人となっています。生徒数や部活動数の減少により、「通っている学校に希望の部活動がない」「部員不足でチームが組めない」など、さまざまな課題が発生しています。また、教員の専門知識や競技経験が無い中での指導による負担や、長時間労働も、働き方改革として取り組むべき課題となっています。
少子化の進行や、教員の負担軽減が課題となる中、部活動の地域移行は、子どもたちの多様な活動体験の機会を確保し、将来にわたって継続できるよう、環境の整備を進めるものです。

市内中学校の生徒数の推移と将来推計

■部活動と地域移行クラブの違い
休日の部活動が地域移行クラブになると、運営主体や指導者などが変わります。また、在籍する学校にはない活動や、平日参加している部活動とは違う分野のクラブ活動に参加することもできます。

▽地域移行のメリット
生徒側:
・スポーツや芸術・文化など、さまざまな活動を体験する機会を確保できる
・専門的な知識や技術を持った指導員から、質の高い指導を受けることができる
教員側:
・指導員から聞いた専門知識や練習方法などを平日の部活動に生かすことができる
・教科指導や生徒指導、授業準備などの時間を増やすことができる

■NEXT
2ページでは、佐倉市の取り組みや実際の地域移行クラブの様子などを紹介します。

■佐倉市の取り組み
市では、令和5年度の先行事例を踏まえて、令和6年度から市内中学校11校の各校ひとつの部活動(運動部)で、休日部活動の地域移行を行っています。市が委託した事業者から派遣された、各競技の指導員が生徒を指導し、平日の部活動を担当する顧問の先生や保護者とも情報共有しながら活動しています。
令和7年度は、現在の活動に加え、市内を6つの地区(佐倉、臼井、井野、志津、志津南、南部・根郷)に分け、地区内の同じ地域移行クラブや部活動を統合する「地区クラブ・地区部活」の設置を計画しています。そして、令和8年度には、一部を除くすべての部活動で休日の地域移行を実施する予定です。

◆例えば、佐倉中学校卓球部の休日部活動を地域移行すると…
▽学校の部活動 佐倉中学校卓球部
・指導者→佐倉中学校の先生
競技経験の無い先生が顧問になることもある
・参加者→佐倉中学校の生徒
自分の学校の部活動にしか参加できない

▽地域移行クラブ(地区クラブ) 佐倉地区卓球クラブ
・指導者→競技経験のある地域の人材
専門的な指導を受けられる
・参加者→地区内のすべての生徒
自分の学校にない活動でも、興味のある活動を選択して参加できる