- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県南房総市
- 広報紙名 : 広報みなみぼうそう 2025年7月号
■リエイブルメントという選択肢
人生100年時代、いくつになっても自立して生きていきたいものです。とはいえ、高齢になれば誰しも心身のはたらきや社会とのつながりが弱くなりがちです。
加齢や疾病で普段の生活に不安ごとが出てきたとき、多くの人が「とりあえず介護サービスの利用を」と考えがちです。しかし、安易にヘルパーやデイサービスを頼った結果、本当は元の生活に戻れるはずの人が、かえって自立から遠ざかってしまうこともあります。
そこで、市では介護予防の新しい選択肢として、令和6年度から「リエイブルメントプログラム」のモデル実施を始めました。
リエイブルメントとは、「再びできるようになる」という意味で、できないことを補うのではなく、本人の力を引き出す支援を基本とする考え方です。
■プログラムの対象者
対象者は、要支援1または要支援2の認定を持っている人です。
また、認定がなくても一定の条件(基本チェックリスト)に該当する人は利用することができます。
■プログラムの内容
リエイブルメントプログラムは、「面談中心」「家にない器具は使わない」「期限付きの集中支援」という特徴があります。プログラムは、(1)リハビリテーション訪問指導、(2)短期集中予防サービス、(3)介護予防手帳による伴走支援から構成されています。
無理のない範囲で目標を設定し、自分らしい生活を自分自身で取り戻すことを目指していきます。
□リエイブルメントプログラムの流れ
[リハビリテーション訪問指導]
リハビリ専門職が自宅を訪問し、心身や環境を評価するとともに、課題に合わせて生活や運動の助言を行います。
↓
[短期集中予防サービス]
研修を受けた職員が、施設や自宅で、目標達成に向けた面談中心の支援を合計12回(約3か月間)行います。
↓
[介護予防手帳・伴走支援]
包括支援センターの職員が、一緒に作成した介護予防手帳をもとに、月に1回、取組継続の確認と助言を行います。
■事例の紹介(令和6年度モデル実施より)
□Aさんの場合(80代女性・要支援1)
「やってよかった!日々の生活に張りが出ました。」
Aさんは、腰が曲がって痛みがあるため、歩くのも休みやすみで、最近は体力が落ちてきたことを実感していたそうです。気持ちが落ち込むことも多いようでした。
掲げた目標は「腰を伸ばして歩くこと」。リハビリ専門職に教えてもらった運動を習慣づけられるよう、毎週の支援で取り組み状況を振り返っていきました。
その結果、着実に筋力が付いて痛みも落ち着き、サービス開始2か月目の時点で、颯爽と歩けるようになりました。
サービス卒業のころには1日通して動けるようになったAさん。気持ちも前向きになり、活動的な生活を取り戻すことができました。
□Bさんの場合(70代男性・認定なし※)
※基本チェックリスト該当による事業対象者
「身の回りにはできることがたくさんあると気づきました。」
Bさんは、仕事を辞めてから日中はソファで横になっていることが多くなり、足腰が弱ってきたことを自覚します。リハビリをしたいとの相談から、リエイブルメントプログラムの利用が始まりました。
当初は、1日8,000歩の目標を立てましたが、早々に達成。すると新たに「妻の家事負担を軽くしたい」という目標を持つようになりました。
これまで家事は妻に任せきりだったそうで、初めてのことばかり。失敗を繰り返しながらも挑戦を続け、少しずつできることが増えました。
もともと仕事一筋だったBさん。新たな挑戦で、家庭での役割獲得につながりました。
■利用の相談
リエイブルメントプログラムの利用を希望される人は、お住いの圏域を担当する地域包括支援センター(あんしんセンター)にご相談ください。
なお、令和7年度は引き続きモデル実施となります。本格実施に向けた検証のため、効果測定やアンケート調査、取材などへのご協力をお願いします。
専門チームが、あなたの強みを最大限に生かして、活動的な生活を取り戻すお手伝いをします。ヘルパーやデイサービス導入の前に、ぜひリエイブルメントプログラムをご検討ください!
(理学療法士有資格者 伊藤主任社会福祉士(高齢者支援課))
問合せ:高齢者支援課
【電話】36-1152